●アジア・カップの準々決勝は、ベトナム対ニッポン。決勝トーナメント初戦で、サウジアラビアと対戦していることを考えると、ここでベトナムが相手というのは意外な感じ。みんな口々に「近年の東南アジア勢は強くなった」と言いつつも、内心では楽観していたのでは。でも、本当に強くなっていたんすよ、ベトナムは! 若くて、勢いのあるチーム。世代交代を進めたニッポンよりもさらに若い。そして、高さはない。3バックを敷いて、守備時は5バック気味になる。相手が引いている分、ニッポンは中盤ではボールを持てるのだが、前にボールを運ぼうとすると精力的なプレスをかけてつぶしに来る。前半、ニッポンはほとんどチャンスらしいチャンスを作れず。一方、ベトナムのカウンターは鋭く、特に10番のグエン・コン・フオンが脅威。前を向いたらひとりででもシュートまで持ち込む気迫のプレイ。あとはキーパーのダン・バン・ラムの好セーブも光っていた。
●ニッポンは次の準決勝で今大会最強の相手、イラン戦が見込まれることから、選手をターンオーバーするという予想もあったようだが、森保監督は継続性を優先してレギュラーの選手をそろえてきた。ただしトップは大迫が復帰できず(途中交代で出場)、武藤が出場停止なので、北川が先発した。GK:権田-DF:酒井宏樹、冨安、吉田、長友-MF:遠藤航、柴崎-堂安、南野(→塩谷)、原口(→乾)-FW:北川(→大迫)。
●この大会、どういうわけか準々決勝からVAR(ビデオアシスタントレフェリー)を導入することになっている。先のワールドカップで物議をかもしたVARだが、さっそくこの試合でも大活躍してくれた。まず、前半24分、ニッポンのコーナーキックに吉田が頭で合わせて先制ゴール。しかしVARにより吉田のハンドがあったとしてゴールは取り消し。後半8分、堂安がペナルティエリア内でドリブル、倒されるが笛は吹かれずに試合は継続。しかししばらくしてから、VARで検証されることになり、主審はPKと判断。堂安自身がゴールを決めた。ニッポンはVARで1点を取り消され、その後、1点を返してもらったことになる。判定自体は正当なもので、たしかに吉田の手にボールは当たっていたし、堂安の足に相手ディフェンスの足がかかってはいた。でも、サッカーってこれでいいのかな……というのはワールドカップで散々議論になった点であって、それをそのまま踏襲しているというのは「これでいい」という判断なんだろう。VAR、基本的に肯定的にとらえてはいるのだが、なにか運用面で腑に落ちないところが残る……。ホントに、これでいいの?
●で、ニッポンはなんとか1点を守り切った。失点してもおかしくない場面はいくつもあって、特に権田のパスが相手にさらわれた場面は冷や汗もの。終盤、ベトナムはパワープレイに出たが、空中戦になるとそれほど怖くはない。ニッポンは北川がチャンスを生かしきれず。堂安と南野はなんどか華麗なコンビネーションを披露してくれたが、ゴールには遠い。毎試合、一点差で苦しい試合を乗り切って勝ち進んでいる今大会、いいほうに考えれば、ジーコ監督で優勝した2004年中国大会を思い出す。レギュラーメンバーの固定、選手交代への慎重さという点でもジーコ・ジャパンと似ていなくもない。で、次の準決勝は中三日でイランが相手。ニッポンとは対照的にイランは向かうところ敵なしの強さで、中国を3対0で一蹴して勝ち上がってきた。攻撃力も高いが、ここまで1失点もしていないのがすごい。これまでとはまったくレベルの異なるパワフルな相手。最近、イランとは公式戦であたっていなかったので、久々の対戦では。楽しみ。
January 25, 2019