●ぐあああ。ま、負けてしまった! しかも内容的にも完敗。最強の敵イランに完勝したことで、次はカタールと聞いてどこかこれは勝ってしかるべき決勝戦(そんなものはないのに)だと思ってしまった自分がいる。なにせ今までアジア・カップは決勝戦に4回出場して、4回とも優勝しているので。ところが、決勝で姿を見せたカタールは、かつてのカタールではない。準決勝のカタール対UAE戦でもそうだったが、スペイン人のフェリックス・サンチェス監督のもと、すっかりと欧州化されたモダンなエリート集団になっていた。次のワールドカップのホスト国として、スポーツエリート養成施設のもとで長期的な選手の育成に力を入れる。前線へのプレス、組織的な守備、確かなテクニックによるボール回し、効率的なカウンターアタック。なにせここまで失点ゼロ。ニッポンのトップ大迫のポストプレイを封じ込めた。そしてディフェンスラインから中盤への連携のところでボールを狩ろうとするプレスは迫力があった。
●ニッポンは故障した遠藤に変えて塩谷を先発させた。GK:権田:DF:酒井宏樹、冨安、吉田、長友-MF:塩谷(→伊東)、柴崎-堂安、南野(→乾)、原口(→武藤)-FW:大迫。序盤はイラン戦と同様、横に回さず前にボールを運ぼうという意識が高かった。決して悪い立ち上がりではなかったのだが、前半12分、カタールのエース、アルモエズ・アリが信じられないようなゴールを決める。ゴール前で吉田を背負いながら、ボールをワントラップしてからバイシクルシュート、これがきれいにゴール右隅に決まった。このアルモエズ・アリ、まだ若いようだけど遠からず欧州の有名クラブに行くのでは。伝説的なゴールを決められてしまうという屈辱。これだけならまだ挽回可能だったが、前半27分、ハティムが吉田をかわして左足でミドルシュート、これが外から巻くような軌道を描いてゴール左隅に入ってしまう。これも目を疑うようなスーパーシュート。前半で2点差がついてしまい、その後は一気にカタールにとってコントロールしやすい状況になった。ニッポンに攻めさせて、鋭いカウンターで3点目を狙う。
●ニッポンは2点を失ったことでチームバランスも悪くなってしまう。センターバックから中盤の底やサイドバックにボールを出した後、もう少し前の選手がもらう動きをしてくれないと。堂安にキレがない。ラインも間延びしがちで、もっと後ろから押し上げてほしいと感じることもたびたび。ひとつ厳しかったのは主審が相性の悪いイルマトフで、少し激しいチャージをするとことごとく笛を吹かれてしまう。これはストレス。後半24分、ようやく大迫のポストから飛び出した南野がふわりと浮かせたボールでキーパーを交わして見事なゴール。しかし後半38分、ゴール前の守備で吉田にハンドがありPKの判定(VARで確認)。これを決められて万事休す。1対3。せめてカタールに無失点で優勝させなかったのだけが救い(小さい……)。森保監督は選手を信頼しているといえばその通りなんだけど、交代が遅く、大胆な方策を好まない様子。やられるがままにやられたという感は残る。それと、これはワールドカップの決勝でもたびたび見られる現象だけど、休みが一日多いニッポンのほうが、どこか体が重そうにも見えた。
●カタールは初優勝。どう見ても今大会はカタールの大躍進によって記憶されるべき大会であり、アルモエズ・アリの大会であり、また彼らの計画的な育成システムが実を結んだという大会であった。加えるなら、準決勝までの4チーム中3チームが中東のチームだったという、中東の復権。これはUAE開催だったということも大いにあるのだが、これまでの中東に対する「個の能力は高いんだけれど、協会の一貫した強化方針や育成などオーガニゼーションの面で遅れている」といったイメージが、すっかり過去のものになった。このあたりは次のワールドカップ予選で、ふたたび痛感することになるのだろう。
February 4, 2019