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March 13, 2019

「シュトックハウゼンのすべて」(松平敬著/アルテスパブリッシング)

●やっと読み始めた、話題沸騰の一冊、「シュトックハウゼンのすべて」(松平敬著/アルテスパブリッシング)。先日の「エドガー・ヴァレーズ 孤独な射手の肖像」に続いて、また強力な音楽書が登場した。シュトックハウゼンが残したほぼ全作品を作曲順にたどるという作品解説本の体裁をとりつつも、合間合間に伝記的な内容もさしはさまれていて、これが実に興味深い。また、冒頭には第0章として、シュトックハウゼンの創作史概観が記されており、これがコンパクトなシュトックハウゼン入門者向けガイドになっているという親切設計。なので、読み物として前から順に読んでいくこともできるし、興味のある作品を思うがままに選んで、読みたいところから読むこともできる。シュトックハウゼン作品について網羅的に解説が読めるという圧倒的な心強さ。
●著者の松平敬さんは、先日の新国立劇場「紫苑物語」の平太役で超人的な歌唱を聴かせてくれたばかりだが、歌手としての活動のかたわら、よもやこんな力作が書き進められていたとは。シュトックハウゼンと間近に接し、指導を受けたこの著者にしか書けない入魂の一冊。