●第15回目を迎えて絶賛開催中の「東京・春・音楽祭2019」、遅ればせながらようやく一公演目を。23日、東京文化会館小ホールでリチャード・エガーのチェンバロによるオール・バッハ・プログラム。前半にパルティータ第1番変ロ長調と第4番ニ長調、後半にフランス組曲第5番ト長調とパルティータ第6番ホ短調。小ホールとはいえ、それでもチェンバロ一台には空間が広大で、最初は音楽が遠いと感じたんだけれど、次第にそれが気にならなくなってくるのが不思議なところ。最初のパルティータ第1番はやや生真面目で抑制的にも思ったが、続く第4番からは一段開放的で遊戯性や官能性を感じさせるバッハ。後半、フランス組曲は曲集全体としても軽やかさが勝っているが、特にこの第5番は華やかで祝祭的。最後のパルティータ第6番はこの日のプログラムでは唯一シリアスな曲調だが、エガーのバッハは深刻になりすぎず、音楽の愉悦をまっすぐに客席に届けてくれた。この曲の前に軽く奏者のトークが入ったのは客席の睡魔対策なんだろうか。アンコールにヘンデルの組曲HWV428からアルマンド。
●ペラ一枚の当日配布プログラムに曲目解説がないな……と思ったら、QRコードが印刷されていてスマホで読める仕様になっていた。なるほど、そういう手もありか。スマホの電源を落とす前にアクセスするのが吉。
●宣伝。「東京・春・音楽祭」春祭ジャーナルに「Spark Joy! ときめきのシェーンベルク 第2回 ビヴァリー・ヒルズでテニスに夢中」公開中。今回は2回でおしまい。同音楽祭のために書いた過去コラムと合わせて「作曲家の横顔 ~脇道コラム集~」にまとめられています。
March 25, 2019