●前節、最悪の内容でセレッソ大阪に敗れたマリノス。ボールを保持してもシュートできないのでは、なんのためにリスキーなハイラインを敷いているのかさっぱりわからない。さすがにこのままでは戦術の自己否定になるということか、ポステコグルー監督はヴィッセル神戸戦に向けて先発メンバーを入れ替えてきた。主力の天野、三好、広瀬をそろってベンチに置き、扇原、ティーラトン、ケガから復帰のエジガル・ジュニオを先発起用。GK:朴一圭-DF:ティーラトン、チアゴ・マルチンス、畠中、和田拓也-MF:扇原、喜田-マルコス・ジュニオール(→天野)-FW:仲川輝人(→三好)、エジガル・ジュニオ(→李忠成)、遠藤渓太。
●一方、神戸は泥沼の6連敗中。リージョ前監督の退任には驚いた。昨季に続いて吉田孝行監督(元マリノス)で急場をしのいでいるが、調子は上向かない。年俸33億円のイニエスタをはじめ、ポドルスキ、ダビド・ビジャを擁し、それ以外にも外国人選手が4人ほどいるリッチな布陣だが、この日、イニエスタはベンチにも入らずスタンド観戦。ポドルスキもベンチ外。元バルセロナのセルジ・サンペールはベンチ・スタート。かろうじてダビド・ビジャは先発。
●試合が始まって、相手もこちらと似たような問題を抱えていることに気づく。ボールを持ちたい、つなぎたい。でもボールをつなげば失点リスクも高まる。同じ課題に少し違った角度から向き合っているチーム同士の対戦という感じ。序盤からマリノスはいつものように自陣で危険なミスを連発し、これはまたもや早々に自滅のパターンかと思いきや、神戸が決定力を欠いていて救われる。前半31分、遠藤がカウンターからボールを敵陣に持ち込んでスルーパス、これをマルコス・ジュニオールがワンタッチで蹴り込んで見事なゴール。後半22分にはまたも遠藤がドリブルで切れ込んで、マイナス方向のクロスを入れてフリーの李がゴール。後半38分と後半45分には途中交代の三好が立て続けにゴールを決めて4点。その後、ウェリントンに一点返されるが、4対1で完勝。遠藤大活躍。
●ポゼッションはマリノスのほうが高かったが、たぶん、そこはあまり重要ではなくて、マリノスがうまく戦ったというよりは神戸が空中分解を起こしている。神戸はこれで7連敗。球際などでのプレイが淡白。インテンシティ、運動量、スピードなどで本調子にはほど遠いよう。ダビド・ビジャは体にキレがなく、往年の魔人ぶりを思い出すと切ない。
●神戸はイニエスタひとりの年俸だけでこちらのチーム全員分を軽々と上回っている。楽天マネー恐るべし。これだけの予算があれば常勝チームを作れそうなものだが、15位まで落ちて降格圏間近。いったいなにをまちがったらこうなるのか。
May 22, 2019