●23日はサントリーホールでネーメ・ヤルヴィ指揮N響。膨大なレパートリーを持つパパ・ヤルヴィのフランス音楽プログラム。イベール「モーツァルトへのオマージュ」、フランクの交響曲、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」(オルガンは鈴木優人)。イベールの「モーツァルトへのオマージュ」を生で聴けて感激。この曲、今ワタシがお手伝いさせていただいているANAの機内オーディオプログラム「旅するクラシック」のオープニングテーマでもある。オープニングにはぴったりだと思って番組スタート時にテーマ曲候補のひとつとして挙げたもので、今ではすっかり愛着がわいている。涼しげな軽やかさはイベールならでは。
●フランクの交響曲はかなりの高速テンポ。鬱々とした情念が渦巻く曲だと思っていたが、この曲にこんなスピード感とスリルがありえたとは。速いテンポはサン=サーンスの交響曲でも同様で、前へ前へとどんどん進む。ネーメの持ち味はパーヴォとはまったく違って、豪放磊落な鳴りの良さ、爽快な開放感。まったく深刻ぶらない。オルガンは絢爛として鮮麗。鈴木優人さんは12月に指揮者としてN響定期デビューが予定されているが、その前にオルガニストとして登場する珍しいパターン。カーテンコールではオルガン席からステージに降りてきて、ネーメとともに喝采を受けていた。ネーメは客席からブラボーがわくと耳に手を当てて「えっ、なになに?」みたいなポーズをとるのがお茶目。まもなく82歳。
May 24, 2019