●サッカー日本代表のメンバーが不思議なことになっている。6月5日からのキリンチャレンジカップ2019に向けての代表と、6月14日からのコパ・アメリカ・ブラジル2019に向けての代表と、2種類の代表メンバーが立て続けに発表されたんである。両方選ばれている選手もいれば、片方だけ選ばれている選手もたくさんいて、わけがわからない。おまけにメンバーには知らない選手がたくさん。大学生までいる。これはいったいどういうメンバーなのよ?
●以前にも書いたように、ニッポンはコパ・アメリカに招待参加するものの、諸事情あってこの大会に強制的に選手を招集できない。シーズン中のJリーグは選手を出したくないに決まっているし、シーズンオフの欧州クラブにしても、貴重な休養を削って日本の選手を南米にまで送りたくない。選手の供出を拒否したクラブは相当多かった模様。で、いろんな大人の事情が交錯した結果、キリンチャレンジ用の2試合限定の代表と、南米に行く代表ができてしまった。前者には香川や長友、酒井宏樹、大迫、原口、南野、堂安といったスター選手がいるが、彼らはコパ・アメリカには行かない。集客やテレビ中継など、いろんな事情もあるのだろうが、強化試合としての意味はほとんどなくなった。森保監督にしても苦渋の決断だろう。
●大事なのはコパ・アメリカのほうだ。栄えある大会で南米の強豪と真剣勝負できる貴重な機会。これにニッポンはミステリアスなメンバーで臨む。各チームと交渉の末に、ようやくそろった23人。なんと23人中、13人が初選出だ。こんなに顔と名前が一致しない代表チームはかつてなかった。勇者たちの名前を記しておかねば。*は初選出。
GK
川島永嗣(RCストラスブール/フランス)、小島亨介(大分トリニータ)*、大迫敬介(サンフレッチェ広島)
DF
植田直通(セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)、板倉滉(FCフローニンゲン/オランダ)*、岩田智輝(大分トリニータ)*、立田悠悟(清水エスパルス)*、原輝綺(サガン鳥栖)*、杉岡大暉(湘南ベルマーレ)*、菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)*、冨安健洋(シントトロイデンVV/ベルギー)
MF
柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)、中島翔哉(アルドゥハイルSC/カタール)、中山雄太(PECズヴォレ/オランダ)、三好康児(横浜F・マリノス)*、伊藤達哉(ハンブルガーSV/ドイツ)、松本泰志(サンフレッチェ広島)*、渡辺皓太(東京ヴェルディ)*、安部裕葵(鹿島アントラーズ)*、久保建英(FC東京)
FW
岡崎慎司(レスター・シティー/イングランド)、前田大然(松本山雅FC)*、上田綺世(法政大)*
●東京ヴェルディから代表選手が選ばれたのはずいぶん久しぶりでは。そして2名を供出した大分は立派。マリノスの三好康児は川崎からローンの選手。ここで出した以上は完全移籍してチームに留まってもらいたいもの。法政大学の上田綺世は9年ぶりの大学生選出なんだとか(2010年の永井謙佑と山村和也以来)。