●6日は杉並公会堂グランサロンで日本フィル記者会見へ。首席指揮者ピエタリ・インキネン、平井俊邦理事長、益満行裕企画制作部部長が登壇。主な内容は4月に行われたヨーロッパ・ツアーの報告と、今年10月からスタートするベートーヴェン生誕250年ツィクルスについて。
●まず13年ぶりとなったヨーロッパ・ツアーについて平井理事長から、財政的に高いハードルだったが相当な苦労の末に実現したこと、世代交代が進む日フィルにとって大きな財産になったことが述べられた。特にフィンランド公演についてはインキネン自らのプロデュースがあって実現し、本場で日フィルのシベリウスを披露できたことは大きな喜びだったという。
●インキネンにとっては「私と日フィルの間のもっとも密度の濃い一か月間」。以前にもインキネンは自分はオーケストラのメンバーと交わりたいタイプだと話していたが、その点でもツアーは大きな収穫となった模様。「ツアーを通じて私たちは大きく成長した。とりわけフィンランド公演は自分と日フィルにとって特別な節目となった。ウィーンのムジークフェラインでの公演は貴重な体験だった。このホールでは最初の一音目からすばらしい響きがして、忘れることができない。おもしろいのは帰国後のサントリーホールの凱旋公演で、ホールの響きがいつもとは違って感じられたこと。サントリーホールもよいホールだが、なにかが変わっていた。もちろんホールの響きそのものは変わっていないのだから、私たちの感じ方のほうが変わったのだ」。
●ベートーヴェン生誕250年は来年なのだが、秋始まりのシーズン単位で考えると、スタートはこの秋ということか。ベートーヴェンの交響曲を集中的に一気に演奏するのではなく、協奏曲やドヴォルザーク作品などと組み合わせつつ、10月、来年4月、6月、11月、再来年3月と足かけ3年にかけてのシリーズになる。インキネン「どのオーケストラにも固有のDNAがある。日フィルは明るく繊細な響きを持っている。ツアーで深めた信頼関係がベートーヴェンでも力となってくれるだろう」。
June 10, 2019