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June 27, 2019

ベルリン・バロック・ゾリステン with 樫本大進&ジョナサン・ケリー

●26日はすみだトリフォニーホールで「ベルリン・バロック・ゾリステン with 樫本大進&ジョナサン・ケリー」。ベルリン・バロック・ゾリステンは、かつてベルリン・フィルのコンサートマスターであったライナー・クスマウルが創設した、ベルリン・フィルのメンバーを主体とするバロック・アンサンブル。それが今やムジカ・アンティクヮ・ケルンを率いて活躍したラインハルト・ゲーベルを音楽監督に迎えている。つまり、古楽出身の指揮者たちがモダン・オーケストラに盛んに客演するようになったのと裏返しの関係にあって、ベルリン・フィル(のメンバー)側がゲーベルの門を叩いている。時代は変わる。ただし、今回の公演ではゲーベルは来日せず、現在のベルリン・フィルのコンサートマスターである樫本大進、そして首席オーボエ奏者のジョナサン・ケリーをソリストに招いている。コンサートマスターはヴィリ・ツィンマーマン、フルートにスザンネ・ホプファー=クスマウル、チェンバロはラファエル・アルパーマン。
●プログラムは前半がバッハ、後半がヴィヴァルディという構成。バッハのフルート、オーボエ・ダモーレとヴァイオリンのための三重協奏曲ニ長調BWV1064 (ヴィンシャーマン版)、ブランデンブルク協奏曲第5番、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060、ヴィヴァルディの協奏曲集「四季」。最初のバッハ2曲はアンサンブルのサイズに対してホールが大きすぎるということなのか、ステージが遠く、表現も抑制的に聞こえていたのだが、3曲目から樫本大進が登場すると響きは一変。一気に生命力に富んだ雄弁なバッハに。後半の「四季」はますます起伏に富んだ演奏で、アーティストたちとの距離感がぐっと縮まった。四季折々の場面の描写性も豊か、なによりメンバーが樫本に引っ張られて生き生きと弾きまくっているのが気持ちいい。モダンなヴィヴァルディ。最初はバロック・アンサンブルだったのが、最後はすっかりプチ・ベルリン・フィルになっていたというか。アンコールは「冬」の第2楽章。今風の快速テンポ。本編よりいっそう自由に。