●コパ・アメリカなどもあったが、その間もJリーグは続いていて、先週末で第18節。FC東京にコテンパにされたり、天皇杯で立命館大学に苦戦するなど、ここのところ停滞気味のマリノスだが、ホームでの大分戦は1対0となんとか勝利を収めることができた。アウェイの大分戦では、片野坂知宏監督の戦術にハマって手も足も出なかったのだが、ホームでは猛攻に次ぐ猛攻。スコア上は1対0だが、シュート数は17対2、しかも枠内シュート数で12対1ということで、内容でも圧倒していた。ゴールは74分、エジガル・ジュニオ。いったんはシュートをブロックされるが、こぼれ球をすばやく蹴り込んでゴールを決めた。大分はマリノスのボールの出どころをつぶそうとしていたようだが、マリノスは選手たちの連動性の高さで相手を上回っていたと思う。
●で、いまJ1の順位表を見ると、なぜかマリノスが2位にいる。が、これで浮ついてはいけない。というのも、よく見ると、3位川崎、4位鹿島はともに1試合少なく、その1試合に勝てばマリノスを上回ってしまう。だいたい、派手に打ち合っているようで、実のところマリノスの得失点差は+6しかない(1位の東京は+15、3位の川崎は+14)。実力的には5位くらいなのかも。そして、ポステコグルー監督の戦術が一段と浸透したから成功している、とは必ずしも言えないんじゃないだろうか。というのも、この超攻撃的サッカーがもたらすのは「強さ」というより「ハイリスク」。あるときは大勝するが、あるときは大敗する。運命の女神の気まぐれで、同じチームで上位争いも降格争いもありうる。常勝チームならリスクはなるべく抑えるべきものだが、中位のチームがタイトルを狙うなら可能な限り高いリスクを取ったほうがいいというのは戦略的に一理あるわけで、これがポステコグルー戦術の肝なんじゃないかなと思っている。
●マリノスは天野純がこの試合をもって、ベルギーのロケレンへ移籍。といってもローンなので、すぐに戻ってくるのでは。もう27歳だし。試合後のセレモニーで、「海外に向いてない性格なのはみなさん知っての通りですが」みたいなことを言っていたが、そこがカギか。初めて日本代表に選ばれた試合で、得意のフリーキックのチャンスなのに、堂安に「蹴りたい?」とか聞いて譲ってしまった場面があったが、あれには参った。「オレがオレが」の逞しさを身につけて、一回り大きくなって帰ってきてほしい。
July 11, 2019