●ときどき定点観測的に記している、クラシック音楽を聴くための定額制音楽ストリーミング・サービスについてのメモを。現状、ワタシが使っているものを使用頻度順に挙げると、Spotify、Naxos Music Library、Apple Music。ここ数年は、この三者が三強として落ち着いている。今の時点でのそれぞれの長所と短所を記しておこう。
●Spotifyは日本では後発ながら、だんだんこの世界のスタンダードになってきた。CM入りの無料版でユーザーを獲得している面もあるだろうが、メインで使うならもちろん有料版。有料といっても月額980円なので、CD一枚分にも満たない。主にWindows上で使っているが、アプリの動作が軽快なのが吉。この点でApple Musicを圧倒している。それに加えて、好ましく感じるのは、音楽を途中で止めるときにかすかにフェイドアウトして、「ふわっ」と止めてくれるところ。この「ふわっ」感はAppleにはない。ささやかな違いなのだが、配慮を感じる。最近はスマホからもSpotifyを使っている。PCを経由せずに、スマホからWi-Fiで直接オーディオプレーヤーにつなげて、音楽を流す。PCが起動していないときや、PCのない場所で使うのに便利。残念なところも挙げておくと、クラシックのニューリリースのコーナー。ここがApple Musicに比べると格段に点数が少ない。一部トラックしか聴けないタイトルが多いのにもがっかり。
●Apple Musicは、Windows用のiTunesアプリの質がいつになっても改善しない。なんどもバージョンアップしているのに、動作がもっさりしていて、バグなんじゃないかと思うような挙動もあって、ストレスがたまる。何年も前のバージョンがいちばんよかった……。それでも使い続けているのは、唯一、クラシックのニューリリースのコーナーのため(深い階層にあるが主に用があるのはここ。トップページ→ジャンル→クラシック→ニューアルバム すべて見る、とたどる)。掲載される新譜の点数がSpotifyよりずっと多い。また、Spotifyでは一部トラックしか聴けないのに、Apple Musicだと全トラックを聴けるということもしばしば。今やこの一点だけで、Apple Musicの利用価値があると言ってもいい感じ。月額はこちらも980円で、Spotifyと合わせてもCD一枚分。止める理由はない。
●Naxos Music Libraryは、あいかわらず便利で、よく使う。日本語で検索できるサービスは事実上ここだけ。SpotifyもAppleもレーベルから提供されるラフなメタデータを自分たちのフォーマットに流し込んでいるだけだが、Naxosはこれを逐一人力で日本語化してくれるし、曲名や演奏家名も統一表記にそろえられている。他サービスで、たとえばストラヴィンスキーの「春の祭典」が何種類あるかを検索してみようと思っても、なかなか難しいが(曲名はフランス語なのか英語なのか日本語なのか)、Naxosでは容易。日本語で検索すればいい。検索結果について、タイム順で並べ替えるなども可。検索能力では圧勝。ただし、トラックからトラックへ切れ目なく曲が続く場合は無音のギャップが発生する(SpotifyやAppleでは発生しない)。「春の祭典」で細かくトラックが切られていると大変なことになってしまう。鑑賞用以上に資料として必須という独自性の高いサービスになっている。
●その他はもう使っていない。Google Play Musicはしばらく前から使用を止めている。Amazon Music Unlimited(Prime Musicの上位バージョン)は未体験。Amazonプライム会員でないのなら、わざわざこれを選ぶ理由がないと思っているのだが、どうなんでしょ。国産の配信サービスは使ったことがない(もしあえて使う理由があるなら知りたい)。今後、試してみたいのはDeezer HiFi。ここはFLACでの配信なので、CD音質そのままというのが強みといえば強み。
July 19, 2019