●29日、またもミューザ川崎へ。フェスタサマーミューザ2019のアラン・ギルバート指揮東京都交響楽団によるイタリアつながりプログラム。前半がヴォルフの「イタリア風セレナーデ」(管弦楽版)、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲、後半がレスピーギの交響詩「ローマの噴水」と「ローマの松」。アラン・ギルバートと都響のコンビ、以前にも感じたけど、明快で華やか、清涼感がある。とてもうまい。ヴォルフ作品はマックス・レーガーの編曲で、ヴィオラ・ソロ(鈴木学)が活躍してほとんど協奏曲風。さらにはチェロのソロも。レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」は進化の袋小路に迷い込んだような豊麗な20世紀古楽。よく鳴るエモーショナルなレスピーギで、一瞬ブラームスやチャイコフスキーを連想するほど。
●後半はカラフルな音の饗宴。「ローマの噴水」も「ローマの松」も一大スペクタクル。「松」はバンダが見当たらないのでどこにいるのかなと思ったら、二階奥両脇に陣取っていて、これはものすごいサラウンド効果。大音響なんだけど、それでも音が澄明なのがすごい。猛暑を吹き飛ばしてくれるような爽快さ。アンコールなし、やや早めの終演で、密度が濃かったのも吉。
●レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」、久しぶりに聴いたけど、第3曲の「シチリアーナ」はかつてのNHK-FMの番組でエンディングテーマとして使われていた曲とあって、強烈なノスタルジーを喚起する。まだレコードなんて高価でめったに買えない頃は、主にラジオ放送のエアチェック(死語)で曲と出会っていたわけで、その点では当時も今も音楽への入り口は「ストリーム配信」にあるともいえる。電波かネットか、オンデマンドかどうかが違うだけで。
July 30, 2019