August 8, 2019

欧州リーグへの日本人選手移籍状況

ユーロ●サッカーの話題を。欧州は早くも一部のリーグが開幕していて、オランダ・リーグに渡ったAZの菅原由勢や、トゥエンテの中村敬斗がゴールを決めたというニュースが伝わっている。「えっ?、だれ、その日本人選手」みたいに感じる方も多いんじゃないだろうか。このシーズンオフで、大勢の日本人選手が海を渡ったが、移籍事情は急激に変化していて、もっぱら「これから大成する、かもしれない若い選手」が求められるようになった。菅原由勢も中村敬斗もともに19歳。移籍ビジネスは「安いうちに買って、活躍したら高く売る」が基本。従来はJリーグのスター選手が欧州に移籍していたが、今後はまだ有名になる前、20歳前後で欧州に渡るケースが一般的になりそう。つまり、Jリーグも欧州のマイナーなリーグとすっかり同じ扱いをしてもらえるようになったともいえる。
●主だった選手だけ、ざっと挙げておこう。久保建英(18歳)はレアルマドリードに移籍して、即座にバジャドリードにローン。安部裕葵(20歳)はバルセロナに移籍して、3部リーグのバルセロナBへローン。松本の前田大然(21歳)はポルトガルのマリティモへ(ローン)。鹿島の安西幸輝(24歳)はポルティモネンセ。清水の北川航也(23歳)はラピッド・ウィーン。仙台のシュミット・ダニエル(27歳)と鹿島の鈴木優磨(23歳)はベルギーのシント=トロイデンへ。マリノスの天野純(28歳)はベルギーのロケレン(ローン)。年齢的には異例の移籍例。
●欧州間の移籍も活発で、乾貴士は古巣エイバルに復帰。柴崎岳は2部のデポルティボへ。岡崎慎司もスペイン2部でマラガに決まり。シント=トロイデンの冨安健洋はセリエAのボローニャにステップアップ。これは快挙。中島翔哉はアルドゥハイルから名門ポルトへ。中東時代は短期で終わった(大方の予想通り?)。川島永嗣はストラスブールと再契約。久保裕也はニュルンベルクへのローンが満了してヘントに復帰。井手口陽介、宇佐美貴史は帰国。香川真司、酒井高徳は去就未定。
●浅野拓磨はなんとセルビアのパルチザン・ベオグラードへ行くことになった。浅野の所属はアーセナルだったはずだが、シュトゥットガルト、ハノーファーへのローンを経て、ローン先で買い取られることなく帰って来て、結局セルビアへ完全移籍。ビッグクラブでは、こんなふうに有望選手を買って、自分たちでは使わずにローンに出してから売るという例がいくらでもあるのだろう。浅野のケースは少し気の毒で、昨季ハノーファーでは途中まで試合に出ていたのに、「これ以上試合に出ると契約上買い取り義務が発生するから」という理由で、途中から干されてしまった。使える選手だけど、買うほどではないというのが会長の判断。選手が商品として扱われるのはしょうがないのかもしれないが、クラブ間の力学に翻弄されてもはや自分の意志ではどうにもならなくなる様子が透けて見えて、どうにも切ない。

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