●12日はすみだトリフォニーホールでジョヴァンニ・ソッリマの「100チェロ」。舞台上に100人を超えるチェリストたちがずらりと並んで壮観(実際には120人以上いたそう)。「100チェロ」とは、イタリアの鬼才チェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマが同じくチェリストのエンリコ・メロッツィと始めたプロジェクトで、プロアマ問わず、経験も年齢も不問でチェリストたちを集め、みんなで音楽を作るというもの。ローマから始まり、各地に広がり、今回ついに東京にやってきた。イタリアから来た4人のコアメンバーと一緒に、上手い人も初心者も舞台に乗る音楽の冒険。ソッリマとメロッツィがソリストとなって(PAあり)、100人のチェリストをリードしながら、猛烈なテンションで弾きまくる。白髪のソッリマが、飛んだり跳ねたり、走ったり、チェロを持ち上げたり、舞台に降りたり、足を踏み鳴らしたり、歌ったり、寝転がったり、もうなんでもありのエキサイティングな舞台。たまにドリフばりのギャグがはさまれるのがおかしすぎる。
●曲もなんでもあり。バッハもパーセルも伝承曲もソッリマ自作もデヴィッド・ボウイもピンクフロイドも。もちろん客席も一緒になって手拍子を打ったり歌ったりという趣向なんだが、もしかしてこっちのノリが悪かったらゴメン。ピンクフロイドの Another Brick In The Wall をみんなで歌っちゃおうって、大型スクリーンが下りてきて、英語歌詞が表示されたんだけど、これはハードル高い。
●100チェロには決めポーズみたいなのがあって、そのひとつがみんなでチェロを高々と持ち上げるというもの。やたら持ち上げる。ソッリマが持ち上げると、みんないっせいに持ち上げる。なんかの部族の挨拶みたいに持ち上げる。そして持ち上げられた100台のチェロは照明を反射してキラキラと輝かしい。100人の創造の現場に立ち会ったという気分。客席で「次はオレも乗りたい」と思った人も少なくないのでは。
●あと、客席にスマホの電源を入れさせてライトを光らせる曲があったり、写真も動画も撮ってオッケーだからタグを付けてSNSにアップロードしてね、なんていう場面もあったりして趣向満載。だから、ここに写真がある。写真、大事。
●今週は夏休み週なので、当欄も不定期更新で。
August 13, 2019