●2日は東京オペラシティで第29回出光音楽賞受賞者ガラコンサート。出光興産主催の音楽賞「出光音楽賞」の今年の受賞者が出演し、まずは授賞式があり、これに各々の受賞者の演奏とトークが続く。今年の受賞者は3名で、箏のLEO(今野玲央)、ピアノの牛田智大、ヴァイオリンの郷古廉の各氏。選考委員のひとりでもある秋山和慶指揮の東京フィルが共演。公演の模様は「題名のない音楽会」で後日放映予定。
●このガラコンサートは各受賞者がどんな曲を選ぶのかがおもしろいところ。LEOさんは肥後一郎作曲「箏と弦楽合奏のための一楽章」より。自分にとってはまったくなじみのない現代箏曲だが、バルトークを連想させるような弦楽合奏に箏の独奏が加わって生まれる響きの色彩感が興味深い。牛田智大さんはプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番。といっても時間の制限があるので全曲は弾かせてもらえないわけで、第2楽章の第4変奏以降から第3楽章まで。楽章の途中からになるけれども、それでもこの曲を弾きたいという意欲が伝わってくる。高揚感にあふれたプロコフィエフ。鋭利さよりもむしろ柔軟さを感じる。牛田さんはかつての美少年ピアニストとしてのインパクトが強く、アイドル的な人気ゆえに(オッサンたちには)関心外だった人も多いと思うが、昨年の浜松国際ピアノコンクールで第2位に入ったことで、ずいぶん見方が変わりそう。まだ19歳。郷古廉さんはチャイコフスキーの「憂鬱なセレナーデ」と「ワルツ・スケルツォ」の2曲。長い曲の一部を演奏するよりも、完結した作品、そして性格的に対照的な2曲を並べるという選択。気品のある、成熟した音楽。ますますの活躍が楽しみ。
September 3, 2019