●7日はあずさに揺られて松本のキッセイ文化ホールへ。セイジ・オザワ松本フェスティバル、今年はファビオ・ルイージ指揮のマーラー「巨人」やチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」などもあったのだが、諸々の日程を考えるとこの日の一択で、ディエゴ・マテウス指揮サイトウ・キネン・オーケストラ。これが音楽祭最終日。プログラムはレブエルタスの「センセマヤ」、モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。
●会場に入ると、テレビ収録あり。もしかして……とは思った。このプログラム、「センセマヤ」はマテウスならではのプログラムだし、「悲愴」は大曲だから難しいと思うんだけど、「ハフナー」だったらレジェンドのサプライズ登場が可能なのでは!? というか、そういう可能性を見越しての「ハフナー」なのでは。「センセマヤ」を振り終えたマテウスが袖に引っ込み、ステージの準備が整い、さあ「ハフナー」だと思ったら、そこで袖からすすっとさりげなくあらわれるレジェンド、あっと息をのむ客席、そして地響きのような大ブラボー……なんてことには、ならなかったんである。ちゃんと普通にマテウスが最後まで指揮した。マテウス、最高にすばらしかった。だよねっ!
●「センセマヤ」は歯切れよくくっきりとしたサウンドで大蛇秒殺。「ハフナー」は20世紀の伝統的なスタイルを一段シャープに磨いたようなモーツァルト。「悲愴」は冒頭ファゴットからただならない気配を感じさせる緊迫感にあふれた演奏。白熱した第3楽章の後にダーッと拍手が出た。おまけにブラボーまで出た。最近、なかなか見ない光景だけど、これでいいんだと思う。まだ終わってないと承知の上でのブラボー、たぶん。この曲はすごーく盛り上がったときだけ第3楽章で拍手、そうでもなかったら黙って次、ということでいいかも。第4楽章は抒情的で、決して暗鬱ではない。沈黙のあと、拍手喝采。普通ならこれでおしまいだが、音楽祭最終日ということもあってなのか、「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズを豪快に。最後はハッピーエンドに着地した。楽員退出後、ソロカーテンコールならぬ、みんなでカーテンコールが2回。
●JRの中央線特急「あずさ」「かいじ」って、いつのまにか自由席がなくなってたんすね(→参考)。各席の上方にランプがあって、緑は予約済み、赤は空席になっていて、指定席を確保していない人は赤の席に座れる(でも、乗ってる途中でその席が売れたら色が変わってしまうんだとか)。「あずさ」回数券は廃止。
September 12, 2019