●13日はサントリーホールでアンドレア・バッティストーニ指揮東京フィル。ヴィヴァルディの「四季」(ヴァイオリンに木嶋真優)&ホルストの「惑星」というプログラム。「四季」と「惑星」、つまり地球と宇宙の自然を合わせたという発想。これはいい。「惑星」には地球がないから、両曲合わせて「太陽系」プロともいえる。
●シンフォニーオーケストラの演奏会でヴィヴァルディの「四季」を聴くのはずいぶん久しぶり。小編成ではあるんだけど、サウンドはかなり重厚。ときにバリバリと突進し、ときに朗々と歌う。18世紀ヴェネツィアではなく21世紀港区の「四季」。コンクリートジャングルでも小鳥のさえずりはよく聞こえる。
●「春」第2曲にヴィオラ犬が出てくるじゃないすか。「ツッ! ツ~!」っていう鋭いアクセントで吠える犬。あれは「ワン!ワン!」だと思ってたんだけど、バッティストーニの解釈は「ツッ!ッ〜」。最初にだけアクセントがある。「ワン!……ゥ~」くらいの感じなのか。
●後半、ホルストの「惑星」は豪快な鳴りっぷり。重量感があって、ほとんど爆演級のダイナミズム。神秘主義的というよりは、フィジカルな快感を体現した「惑星」。「海王星」の女声合唱に新国立劇場合唱団を起用する贅沢仕様。フェイドアウトはかつてない緻密さ。
●「惑星」といえば、かつてコリン・マシューズが追補的に「冥王星」を作曲したものの、冥王星が惑星の定義から外れてしまい、ほとんど顧みられなくなってしまった。しかし、まだ太陽系の星ネタにはチャンスが残っていると思う。だれか「フォボス」「ダイモス」「エウロパ」「ガニメデ」「イオ」……などを書いてみてはどうか。題して、組曲「衛星」。
September 17, 2019