●4日は東京文化会館小ホールでアンサンブル・ウィーン=ベルリン。2年ぶりの来日、全席完売。カール=ハインツ・シュッツ(フルート)、ジョナサン・ケリー(オーボエ)、アンドレアス・オッテンザマー(クラリネット)、リヒャルト・ガラー(ファゴット)、シュテファン・ドール(ホルン)という超豪華メンバーによる木管五重奏。前回、現行メンバーで聴いたときも感じたけど、ドール、ケリー、アンドレアス・オッテンザマーというベルリン・フィル勢が3人いて、かなりベルリン・フィル色が強まっている。しかしオッテンザマーはウィーンの人だからアンドレアスをウィーンとベルリン半々でカウントすれば、ちょうどウィーン勢とベルリン勢が2.5人ずつになって釣り合う。
●前回はさいたまでオール20世紀音楽プログラムを聴いたのだが、今回はモーツァルトを柱に置いたクラシカルなプログラム。なので編曲物も入る。前半がモーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」より6曲(編曲はウルフ=グイド・シェーファー。NDRエルプフィルの首席クラリネット奏者)、クルークハルトの木管五重奏曲ハ長調op79、後半はイベールの3つの小品、モーツァルトの五重奏曲ハ短調(セレナード第12番K388=弦楽五重奏曲K406からモルデハイ・レヒトマンが編曲)。クルークハルトは19世紀後半の人だがこの木管五重奏曲は古典派風味。4楽章構成で第2楽章にスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章を配置するスタイルの曲で、構築感よりは名技性が前面に出る感。イベールは真の傑作。洒脱というよりはむしろがっしりとしたシリアスなテイストで聴かせてくれる。
●最後のモーツァルトの木管五重奏編曲バージョンは、もともと木管八重奏で書かれた原曲をモーツァルト自身が弦楽五重奏曲に編曲しており、それをさらにレヒトマンが木管五重奏に再変換したというアレンジ。なるほど、そんな手があったとは。まろやかでスマートなモーツァルト。アンコールにベートーヴェンの弦楽五重奏曲op4(木管五重奏版)より。
October 7, 2019