●書類を整理していたら、引き出しの奥から古いハードディスクが出てきた。これはたしか先代の先代くらいのデスクトップPCで使っていたものでは。本体が壊れて廃棄する際に、ハードディスクの中身を消去していないのに捨てるのは不用心だなと思い、これだけ取り出してから捨てたのだった。で、その裸のハードディスクをどうしようか、つなげて中身を消すのもめんどうだ……と思っている内に時は流れて今。はたと思いついた。ぶっ壊そう。物理的にぶっ壊してしまえば、ただの不燃ゴミだ。
●というわけで、利用したのがビックカメラ・グループの店舗にある「HDD破壊サービス」。直接店舗に持参して、「このハードディスクを破壊してください」とこれまでの人生で一度も発したことのないセリフを放ち、同意書類にサインすると、目の前で破壊してくれる。マーラーの「悲劇的」ばりに、店員さんが金づちを振り上げて渾身の力でズドン!……などとするはずもなく、専用の機械に突っ込んでドリルで穴を開け、あっという間におしまい。お値段は税込1020円なり。普通なら「もし壊れたらどうしよう」と心配されるべきハードディスクに対して、堂々と破壊を宣言できる貴重なチャンス。破壊されたディスクは返却される。セキュリティ対策の一言では済ませがたい、隠微なエンタテインメント性を感じる。また破壊したい。
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●お知らせをふたつ。ダイナースクラブの会員誌 SIGNATURE 2019年11月号で諏訪内晶子さんのインタビュー記事を書いた。先日の国際音楽祭NIPPONの記者会見の直後、追加でインタビュー取材してまとめたもの。もうひとつは、マガジンハウスの「& Premium」2019年12月号の特集「永遠の憧れ、クラシックということ」で、バッハについて話した。ファッション、ライフスタイル等、クラシックなカルチャー全般についての特集のなかの一項目。こちらは取材するのではなく、される側。機会があればご笑覧ください。
October 23, 2019