●24日はサントリーホールでトゥガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団。ベルリオーズ、ビゼー、ドビュッシーからなるフランス音楽プログラムで、3人ともローマ賞受賞作曲家という共通項がある。前半にベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」から「鬼火のメヌエット」と「ラコッツィ行進曲」、ビゼーの交響曲ハ長調、後半にドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」とベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」抜粋。
●全体にソヒエフ・カラーで染め上げられた重厚で濃密なフランス音楽集。「ラコッツィ行進曲」は豪快で、音量的にはこの日のピークはここ。ビゼーは第2楽章のオーボエ・ソロが絶品。この楽章はオペラ・アリア風だなと思う。本来、軽快な曲だがソヒエフの筆圧の強さが際立って、かわいさよりもマッチョさが前面に出た感。ドビュッシーもタメあり、粘りありで、ほとんど「シェエラザード」の一場面のような雄弁さ。大きなドラマを描くソヒエフのスタイルが効果的だったのはやはり劇的交響曲「ロメオとジュリエット」か。「キャピュレット家の宴会」の場面は壮麗。この曲、抜粋にすると曲順が悩みどころだが、ソヒエフの解は「ロメオひとり~悲しみ~遠くから聞こえてくる音楽会と舞踏会、キャピュレット家の宴会」「愛の場面」「マブ女王のスケルツォ」。なんだかスケルツォで終わるというのが尻切れとんぼな感じもするんだけど、これって最初の「鬼火のメヌエット」と対をなしていて、演奏会全体を「妖精の踊り」系の音楽でサンドイッチしようという発想なんだろうか。
October 25, 2019