●昨シーズンからマリノスはポステコグルー監督のもとハイライン、ハイプレス、ボールキープの過激なサッカーを展開しているのだが、当初はゴールキーパーが極端に高い位置にポジションを取っていた。ボール保持時にはゴールキーパーがディフェンスラインの一員に入って最後方で組み立てに参加し、その分、両サイドバックは大胆なポジションをとれる。うーん、カッコいい、理念として。しかし戦術的なカッコよさの代償として、キーパーの飯倉(当時。ポジションを失って、今シーズン途中で神戸に移籍した)はロングシュートを狙われまくった。で、けっこう決められてしまったんである。
●さて、前節のJ2の山形vs愛媛戦で、愛媛のキーパーが高いポジションを狙われて、立て続けに2本の超ロングシュートを決められる場面があった(上掲のハイライト映像)。キーパーは岡本昌弘。最初は山形の中村駿が自陣から打った50メートル超の山なりスーパーロングシュート。そのわずか1分後、坂元達裕がやはり自陣から今度は低い弾道のスーパーロングシュート。どちらも入ってしまった。自陣から打ったシュートが1試合で2度も入った試合など、記憶にない。山形は試合前からこの狙いを選手間で共有していたと思う。
●でも、少なくとも1点目はキーパーに非はまったくない。キーパーが高い位置にいるのに、味方がパスミスでボールを奪われてノープレッシャーでシュートを打たれたら、そりゃゴールに入る。キーパーはチーム戦術に従っただけ。あの位置でボールを決して失わない、もし失ったとしても必ずだれかが即座にプレスに行けるというのがこの戦術の大前提なのだということを、まざまざと見せつけられた思い。
November 1, 2019