●一昨日の続きで、ベルリン・フィルの記者会見から。この日の会見は二部構成になっていて、まずはメータらの来日公演に関する会見があって、その後、休憩をはさんで第2部としてベルリン・フィル・レコーディングスの記者会見が開かれた。同楽団ソロ・チェロ奏者でありメディア代表のオラフ・マニンガーが登壇。まずはリリースされたばかりの「ブルックナー 交響曲全集」についての話題。今回も例によって至れり尽くせりの豪華パッケージで、音楽CDに加えてブルーレイによるライヴ映像、ブルーレイ・オーディオのハイレゾ音声、ハイレゾ音源ダウンロード・コード付き。
●で、だれが指揮をしているかというと、なんと、8人の指揮者で9曲を振り分けている。第1番が小澤征爾、第2番がパーヴォ・ヤルヴィ、第3番がブロムシュテット、第4番&第5番がハイティンク、第6番がヤンソンス、第7番がティーレマン、第8番がメータ、第9番がラトル(これはあの驚くべき第4楽章補筆完成版)。9人で9曲ではなく、8人で9曲というあたりが微妙に落ち着かないが、ベルリン・フィルならではのラインナップにはちがいない。
●マニンガー「これは10年間にわたる録音から選ばれた8人の指揮者による全集。この8人は現代トップクラスのブルックナー指揮者たち。同じ空間、同じオーケストラで、指揮者だけが違う。指揮者によってさまざまなアプローチがある。一方にブロムシュテットがいて、もう一方にパーヴォ・ヤルヴィがいる。全集のためにどの演奏を選ぶかの基準はシンプル。オーケストラのメンバーにとって特別な瞬間が訪れた演奏ということで、おのずとこの8人が決まった。このように、レコード会社の思惑ではなく、オーケストラ自身が芸術的な面から選べるのが、自分たちのレーベルを持っている強みだ」
●さらに、LPの話題もあって、ハイティンクのベルリン・フィルにおける最後の演奏会でのブルックナーの交響曲第7番が、ダイレクトカットLPとして2020年春にリリースされるそう。ダイレクトカットLP、つまり演奏した録音を編集してマスターを作るのではなく、そのままリアルタイムに原盤に刻む。歴史的な演奏会をありのままで。こちらのお値段は未定。
November 22, 2019