●15日は紀尾井ホールでオーケストラ・アンサンブル金沢のニューイヤーコンサート2020。指揮は首席客演指揮者のユベール・スダーン(さすがにミンコフスキは出てこない)。親しみやすい小品中心のプログラム構成で、前半はソプラノの森麻季、後半はコンサートマスターのアビゲイル・ヤングがソリストとして活躍。
●前半ではモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1、第2、第4楽章の各楽章とヘンデルのアリアを交互に演奏するという趣向が珍しい。森麻季さんによるヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」「涙の流れるままに」他、清澄な声を堪能。後半も、クライスラー「愛の喜び」→シュトラウス兄弟の「ピツィカート・ポルカ」→クライスラー「愛の悲しみ」→ルロイ・アンダーソンの「プリンク、プレンク、プランク」といったように、クライスラーとピツィカートの曲を交互に演奏するなど、曲順が特徴的。ほかにグリーグ「ホルベルク組曲」抜粋、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」ワルツ、モンティの「チャールダーシュ」など、耳なじみのいい曲が並んだ。「チャールダーシュ」でそれまでおとなしめだった客席がぐっと沸く。最後にバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」。この日の白眉。
●井上道義前音楽監督時代であれば、最後にマエストロのマイク・パフォーマンス(?)が入るところだが、スダーンがマイクを握って出てくるはずもなく、アンコールにクライスラーの「美しきロスマリン」。アビゲイル・ヤングが音楽でしっかり締めてくれた。今回は弦楽器のみの編成だったこともあって、いくぶんしっとりした雰囲気の「ニューイヤーコンサート」に。
●左は会場で配布されていた石川県立音楽堂とオーケストラ・アンサンブル金沢の情報誌「カデンツァ」。これが鏡餅。金沢育ちの自分は成人してからかなり経つまで、鏡餅とは全国どこでもこういうものだと信じて疑わなかった。初めて東京のスーパーで「紅白ではない鏡餅」が大量に並んでいるのを目にしたときは、てっきり業者のミスで事故が起きたのだと思ったほど。
January 16, 2020