●22日はサントリーホールでファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団。ウェーバーのオペラ「オイリアンテ」序曲、リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」(クリスティーネ・オポライスのソプラノ)と交響詩「英雄の生涯」。コンサートマスターはライナー・キュッヒルで、キュッヒルの活躍の場がふんだんに用意されたプログラム。
●最近、コンサートの冒頭に序曲を置くパターンが減ってきているせいか、ウェーバーは久々な気がする。やはり名曲。そして、しみじみとした「4つの最後の歌」を艶やかなオポライスが歌う。豊麗なオーケストラのサウンドと歌唱が絶妙のバランスで溶け合う。「英雄の生涯」は聴きごたえ満点のスペクタクル。キュッヒルの存在感が半端ではない。N響の「英雄の生涯」はパーヴォとの精緻な演奏が記憶に新しいところだが、ルイージが率いるとパッションと推進力が前面に出てくる感。ルイージは指揮棒を持たず。後半は持つのかなと思っていたら、最後まで使わなかった。
●ルイージは読響で「英雄の生涯」を指揮したときもそうだったけど、終結部に一般的なバージョンを使わず、静かに消え入るように終わる初稿を用いていた。以前、ルイージが語っていたところによると、「人生を静かに振り返る老人の姿」が描かれるのだからこちらのほうがふさわしいのだとか。納得。同じように「後からより派手な終結部」が作られた例にバルトークの「管弦楽のための協奏曲」があるが、バルトークのほうは初稿だと損した感があるけど(なんだそりゃ)、シュトラウスのほうは初稿でもぜんぜん惜しくない。
January 23, 2020