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February 5, 2020

「スパイスとカレー入門」(印度カリー子著)

●思わず買った「おもくない! ふとらない! スパイスとカレー入門」(印度カリー子著/standards)。カレーのレシピがたくさん載っているのだが、一般家庭で作れる程度のレシピで、しかもスパイス・カレーを作り慣れていない人に対しても親切な一冊。個々のレシピに先立って、「作り方のキホン」として、本当にシンプルなチキンカレーの作り方が載っているのが吉。
●これは絶対的な真実だと思ったのは「塩はカレーにとって命」。どんなスパイスを使っていても、味付けは結局のところ塩なので、塩加減が大事。「なんだか物足りないな?と感じたら、それは多くの場合塩不足です」というのは肝に銘じておきたい。あと、対談コーナーで、カレーの楽しみについて「8割は作ることにある。食べることは残りの2割」と断言しているのも説得力大。
●でも、なにがいちばんスゴいかって、著者名が印度カリー子なんすよ! 抜群のインパクト。そんな名前でカレー以外について本を書きたくなったらどうするんだろうとか、(ないけど)実際にお会いすることがあったら「印度さん」と呼べばいいのか「カレー子さん」と呼べばいいのかとか、つい余計なことを考えてしまうのだが、著者プロフィールを見ると東大大学院で食品科学の観点から香辛料を研究中と書いてあって、なおかつメディアで大活躍中の方だったのだ。
●クラシック音楽業界にも印度カリー子に匹敵する筆名があっていいかもしれない。音楽評論家・独逸クラ夫くらいの思い切りで。あるいは荒栗紺鰤雄(あらぐり・こんぶりお)大先生でもいいのか、ベートーヴェン・イヤーだし。