●6日はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響。前半がプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番(レティシア・モレノ)、後半がラフマニノフの交響曲第2番というロシア音楽プログラム。強力。ラフマニノフは今月下旬からの欧州ツアーのメイン・プログラムのひとつ。
●プロコフィエフの協奏曲、この作曲家特有の棘があるのに甘いという複雑なテイストがたまらない。絶えず苛ついているハッピーな人というか。モレノのソロは巧みだけど、協奏曲としてはおとなしめ。アンコールにバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番の第1曲。のびやかでウェット。
●後半のラフマニノフは濃密な名演に。パーヴォらしい引きしまったサウンドで、起伏に富んで情感豊かな音楽を作り出す。精緻かつパッションも十分。第3楽章アダージョでは深く大きな歌を描き出す。第4楽章は推進力にあふれ、最後はラストスパートをかけてゴールテープを切るかのようなアスリート的な快感あり。盛大な喝采とカーテンコールの後、退団するチェロの桑田歩さんに花束贈呈あり。オーケストラの退出時にもいったん止んだ拍手がふたたびわき起こり、感動的な光景に。
●プロコフィエフとラフマニノフを組み合わせたプログラムは、以前にも同コンビにあったと思うが、このふたりの作曲家が並ぶとリヒテルの言葉を思い出さずにはいられない。プロコフィエフはラフマニノフのことを毛嫌いしていたという。なぜなら、「影響を受けていたから」。
February 7, 2020