April 21, 2020

横のものを縦にする

●アーティストの欧文プロフィールを日本語にするときにいつも悩むのは書式の違い。プロフィールに求められるものがぜんぜん違うので、書き方も異なってくる。特に年齢。いま、欧文の公式プロフィールでは生年が明記されていないケースがほとんどだと思う(男女問わず。極端に若くて年齢が売りになる場合は別)。Wikipediaとかには書かれちゃうから内緒というわけじゃないんだけど、生年は理由もなしにわざわざ書くものではないといった感じ。
●年齢だけじゃない。どの国で生まれたかも書かれていないことすらある(もちろん国籍など知りようがない)。書いてあるのは、パリを拠点に活躍、みたいな今どこで活動しているか、という情報。公式プロフィールには書いてないからと調べてみると、生地は旧ユーゴ圏など東欧のどこかだったりする。「どこで学んだか」は書いてあることが多いけど、たいてい長いプロフィールの最後に来る。ところが、一般的な日本語プロフィールだと優先順位が逆で、まずは生年、そしてどこの国の人か、続いてどこでだれに学んだか……という時系列で過去から現在へと向かう履歴書スタイルが一般的。
●生年も生地も学歴も書かないんだったら、じゃあ欧文プロフィールにはなにが書いてあるのかというと、よくあるパターンとしては「今シーズンの活動」が最初にドーンと来る。まず「今」がどうかを書いて、後で過去に遡る。ただこれも考えもので、ウィグモア・ホールでリサイタルを開いたとか、コンセルトヘボウ管弦楽団と共演したとか、そういった情報を長々と羅列して「箔をつける」のは、業界向けのセールスには向いてるけど、一般的な聴衆に関心を持ってもらえるかというと話はまた別かもしれない。

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