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May 13, 2020

映画「アナと雪の女王 2」

●映画館では見逃してしまったので、配信でようやく見た、「アナと雪の女王 2」(クリス・バック、ジェニファー・リー監督)。前作では名曲「Let It Go ありのままで」が生まれたが、今作でも「イントゥ・ジ・アンノウン」という新たな名曲が誕生。音楽がストーリーやテーマと密接に結びついていて、エルサがこの曲の一節を耳にして、不思議な歌声に導かれるところから物語が始まる。音楽は今回もロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン=ロペス夫妻で、ふたりで歌詞と曲を共同して作っているそう。音楽も映像も見事。
●で、公開済み作品でもあるので、ネタバレ含みで物語に触れる。前作では船が嵐に巻き込まれてエルサとアナの両親が亡くなったことが、あっけなく示されていたけど、続編ではその両親の運命、さらに祖父の代にあった王国の負の歴史までが明らかにされる。エルサは一作目に続いて、自分の居場所を探し続ける。自分らしく生きることが世間との軋轢を生んだ前作から、今作では自分はどこから来たのか、何者なのかについて向き合うことになる。テーマはもりだくさん。前作にあったシンプルな力強さが後退して、いくぶん焦点が分散した印象は否めないかな。気になったのは自然との共生というテーマの扱い方。ひとつは「水は記憶を持っている」というフレーズになんとも落ち着かない危険な香りが漂っているのと、もうひとつはダムの描き方。ダム=反自然=悪と描きつつも、あれでは結局エルサがもうひとつのダムを作っただけなのでは。むしろダム=治水/利水こそ自然との共生のひとつのあり方という視点も欲しくなる。あとクリストフのプロポーズがあまりにも古典的な描かれ方で、近年のディズニーとしては意外。定番のギャグとしては、たしかにおもしろいんだけど。