July 2, 2020

東京フィル 渋谷の午後のコンサート

2019年夏の渋谷
●2日、ついに久しぶりのコンサートへ。尾高忠明指揮東京フィルの「渋谷の午後のコンサート」をBunkamura オーチャードホールで聴いた。曲はエルガーの行進曲「威風堂々」第1番、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(髙木竜馬)、シベリウスの交響詩「フィンランディア」、ジョン・ウィリアムズの組曲「スター・ウォーズ」抜粋。実はこの演奏会、曲目はほぼ当初の発表通り。本来なら満席の公演だったのだが、客席は一席ずつ間隔を開けなければならない。で、どうしたかというと、12時開演と15時開演の一日2公演になった。ただし、休憩なしの一時間公演。全曲が演奏されるはずだった「スター・ウォーズ」組曲は「インペリアル・マーチ」「レイア姫のテーマ」「メインタイトル」の3曲のみの抜粋に。それでも予定通りマエストロやソリストのトークも入り、さらにはアンコールにエルガーの「ニムロッド」まで演奏されて、実際には1時間をだいぶ超えていたと思う。
●この「渋谷の午後のコンサート」、もともとは平日昼間のリラックスムードの演奏会ではあるが、なにしろこの状況で実現したコンサートなので、やはり平時にはない特別な緊張感があったと思う。ワタシ自身にとっては2月以来の生オーケストラ。もう最初の一音からゾクゾクした。なんというぜいたくなサウンドなのか。普段のオーチャードホールの音より響きが豊かに感じられたのは、客席の半分が空いていたからなのか。気持ちのこもった演奏で、オーケストラを聴く喜びをしみじみと味わった。とりわけ「スター・ウォーズ」はキレがあって華やか。
●マエストロのトークは深刻ぶることなく軽妙なのが吉。「朝、電車に乗るときはこ~んなになって揺られているのに、どうしてここは一席ずつ開けなきゃいけないんでしょうね」。客席から笑い。実際、会場よりも渋谷までの電車のほうがよほど感染リスクが高かったんじゃないだろうか、朝でなくても。
●再開後、最初のコンサートで聴いたのが「スター・ウォーズ」。フォースの導きを感じる。しかもプログラムノートの執筆者は自分だ。ジェダイの騎士たちはフォースでウィルスを退けることができるのだろうか。接触感染を避けるために、自販機のボタンを押したりドアノブを回すときは、手を使わずにフォースを使いましょう、みたいなジェダイの感染対策を空想する。くくく。

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