●2日はNHKホールへ。約半年ぶりにこのホールにやってきた。いつの間にか原宿駅が改装されていて驚く。沖澤のどか指揮NHK交響楽団、石丸幹二(語りと司会)、牛田智大&中野翔太(ピアノ)による「N響 夏のフレッシュコンサート ~音楽でふれあおう~」。例年この時期にはファミリー向けの「N響 ほっとコンサート」が開かれているのだが、感染拡大中とあって家族連れはほとんど見当たらず、しかし定期公演に比べれば若い客層が中心。ヘンデル(ハーティ編)の「王宮の花火の音楽」序曲、オネゲルの「夏の牧歌」、ビゼーの「アルルの女」組曲よりメヌエットとファランドール、そしてサン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」というプログラム。
●休憩なしの約1時間、小編成のプログラムは今のオーケストラの標準仕様。奏者間の距離を広くとっての散開配置。弦楽器、特に第一ヴァイオリンの聞こえ方がずいぶん違って聞こえる。セクション内の濃淡が浮き出るというか。客席は半分よりもはるかに疎、入り口にサーモグラフィあり、入場時に手指アルコール消毒必須、マスク着用、チケットの半券は自分でもぎる方式。ビュッフェの営業はないが、自動販売機があるのはありがたい。感染対策は十分すぎるほど十分。というか、今はどの公演でもそうなんだけど、街中のほうがずっと密で、お店や駅に比べたらコンサートホールは安全地帯と言っていいほど。客席でもみんな静かだし。
●「王宮の花火の音楽」、ハーティ編を聴くのはいったいいつ以来なんだろう。録音でも長く耳にしていなかったが、今聴くと懐かしの「20世紀デラックス」感。これはこれで20世紀前半の歴史的演奏スタイルなのか。白眉はオネゲル「夏の牧歌」。ホルンの深々としたまろやかな音色を堪能。沖澤さんの指揮ぶりはとても明快で、音楽の流れが自然。石丸さんとのなにげないトークから、沖澤さんが「フランスでサン=サーンス先生から石丸さん宛の手紙を預かってきたので読んでほしい」と言い出して、ナレーション入りの「動物の謝肉祭」へとなだれ込む。「動物の謝肉祭」に込められたギャグ(?)にはピンと来るような来ないようなものもあってまちまちだが、「ピアニスト」は若くて華のあるふたりだからこその楽しさ。「化石」は「死の舞踏」の恐竜版だと思って聴く。恐竜の骨がカチャカチャ鳴って踊っているイメージ。
●最初の奏者入場から拍手がわき、最後に全員が退出するまで拍手が続く。これも今の演奏会の光景。
August 3, 2020