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August 19, 2020

「クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスク検証実験報告書」

●一般社団法人日本クラシック音楽事業協会、公益社団法人日本オーケストラ連盟、公益社団法人日本演奏連盟ほかで構成された「クラシック音楽公演運営推進協議会」が、「クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(PDF)を公開している。これは必見。複数の感染症専門家の協力を得て、演奏会における飛沫感染リスクが実験を通して検証されている。特に奏者間の距離や客席間の距離についての提言は重要で、「演奏者およびマスク着用下の客席において、従来の間隔の場合でも、ソーシャルディスタンスを取った場合と比較して飛沫などを介する感染リスクが上昇することを示すデータは得られなかった」(ホルン、トランペット、トロンボーンについては注釈あり)。感染症対策に限った話ではないが、漠然としたイメージや思い込みだけで議論しても事態は一歩も前に進まないわけで、定量的な議論が不可欠だと改めて感じる。
●この報告書はとても明快に書かれていて、まず最初に「提言のまとめ」があって、それから実験目的と実験概要、実験結果とその考察と続く。今回の実験の限界についてもきちんと記述されている。音楽業界にいるとこういった筋道だったレポートを目にする機会はなかなかない。
●飛沫がどれだけ飛び散るかをどうやって測定しているかというと、大気中の微粒子を排除した高清浄度実験室(クリーンルーム)で実験を行って、各方向に設定した9台のパーティクルカウンターで微粒子数を測定している。「3.2 客席」の項では客席での発声や咳、ブラボーを再現し、各々にマスクありマスクなしでも測定。マスクの効果はとても大きい。今後は客席の間隔よりも、マスクの着用や会話を控えることに焦点が当たることになるのでは。