●4日はサントリーホールで山田和樹指揮日本フィルの定期演奏会。7月の公演再開以降、すでに演奏会には何度も足を運んでいるが、平日夜の休憩入りフルサイズの公演は初めて。舞台上のオーケストラもノーマルな配置で、マスクなし。見慣れた光景が戻ってきたたことがうれしい。ただし、入り口にはサーモグラフィが設置され体温チェックあり、手指の消毒とマスクは必須、自分で半券をもぎり、自分でプログラムノートを取る。退場時は時差退場。客席は一席空け。
●プログラムは一部変更があって、ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム変奏曲」、ミシェル・ルグランのチェロ協奏曲(日本初演)、五十嵐琴未の委嘱新作「櫻暁」(当初発表からタイトル変更)、ラヴェルのバレエ音楽「マ・メール・ロワ」。ソリストはチェロの横坂源、ピアノの沼沢淑音。ガーシュウィンとラヴェルといえばあの有名な逸話、弟子入りを求めたガーシュウィンに対してラヴェルが「あなたはすでに一流のガーシュウィンなのに、なぜ二流のラヴェルになりたいのか」と語ったという話を思い出さずにはいられない。ガーシュウィン、ミシェル・ルグランと続くので、ジャズ・プログラムでもあるのだが、全体を通して感じるのはラヴェルとその射程距離の長さか。
●ミシェル・ルグランのチェロ協奏曲は2012年の作品のようなので、80歳で書いたことになる。本格派の協奏曲で、知らずに聴けばミシェル・ルグランの名前は思い浮かばない。焦燥感のにじむ第1楽章がカッコいい。終盤でチェロとピアノのデュオになる部分はカデンツァみたいなものか。全体としては淡々としたリリシズムがベースにあって、おしまいは寂寞として幽玄。30分強ほどで、けっこう長い。ソリスト・アンコールにフォーレの「夢のあとに」。ソリストにチェロとピアノがいると、こういったアンコールが可能に。五十嵐琴未作品は清爽。ぜひもう一度聴いてみたい。ラヴェルはカラフルというよりは抑えたグレースケール寄りの色調で、土の香りを残した民話の世界。
●休憩があると、歓談の輪が広がるということを認識。マスクは着用している。
September 7, 2020