●そういえば話題にするのを忘れていたが、英グラモフォン誌のGramophone Classical Music Awards 2020が発表されたのだった。この賞の発表は二段構えになっていて、まず部門賞を発表し、後日セレモニーでレコーディング・オブ・ザ・イヤーやアーティスト・オブ・ザ・イヤー等を発表するというスタイル。
●今年のレコーディング・オブ・ザ・イヤーは、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ指揮バーミンガム市交響楽団によるヴァインベルクの交響曲第2番&第21番「カディッシュ」(ドイツグラモフォン)。上記映像で受賞コメントを述べる指揮者の映像があるが、ジャケ写とはまた違った雰囲気が伝わってくる(プレゼンターはダニエル・ドゥ・ニース)。これが合わせてオーケストラ部門を受賞。ほかの部門賞を眺めると、合唱部門を鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ「マタイ受難曲」(BIS)が受賞しているのが目を引く。協奏曲部門はベンジャミン・グローヴナーのショパン(DECCA)、器楽曲部門はイゴール・レヴィットによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集(SONY)など。
●特別賞ではアーティスト・オブ・ザ・イヤーにイゴール・レヴィットが選ばれた。ロックダウン中にサティの「ヴェクサシオン」を15時間かけて弾き切った甲斐があったというもの。ヤング・アーティスト・オブ・ザ・イヤーにはソプラノのナタリア・ロマニウが選ばれた。オーケストラ・オブ・ザ・イヤーにはN響もノミネートされていたが、受賞はフィラデルフィア管弦楽団。いつも感心するのだが、これら多くの特別賞には賞ごとにスポンサーが付いている。録音を対象とした賞である以上、レコード会社はスポンサーになり得ないわけで、なかなか大変だと思うのだが(ましてやこのご時世)、この営業力はすごい。
October 20, 2020