●20日はトッパンホールへ。ウイルス禍以来、ここに足を運ぶのは初めて。久しぶりすぎてなんだか懐かしい気分に。今回は荒井里桜のヴァイオリン、日下知奈のピアノによるランチタイムコンサート。12時15分開演でプログラムはプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番とパガニーニのロッシーニ「タンクレディ」の「こんなに胸騒ぎが」による変奏曲。マスク、サーモグラフィ、手指消毒等の標準的な感染対策で、座席は一席空けとまではいかないが席数を絞っての開催。
●荒井里桜は現在東京芸大4年に在学中で、第15回東京音楽コンクール弦楽部門第1位を獲得した新鋭。すでにプロ・オーケストラの共演歴も豊富のようで、しかも華があり舞台映えがするとあって、次代のスターの予感。大きな可能性を秘めている。プロコフィエフとパガニーニという極端に世界の異なる2作品が並べられたプログラムだが、この組合せだとがぜんプロコフィエフが楽しい。意外なほど芯のある太い音が客席に飛んでくる。第1楽章は抑制的にも思えたが、次第に熱を帯びてフィナーレは鮮やか。アンコールはドヴォルザークの4つのロマンティックな小品Op.75より第1曲。お昼のひとときにふさわしい伸びやかな佳品。
October 21, 2020