●22日は東京芸術劇場で鈴木雅明指揮N響。本来ならブロムシュテットが指揮台に立つ予定だったが、鈴木雅明とN響の初共演が実現。思い切り凝ったプログラムで、武満徹の「デイ・シグナル」「ガーデン・レイン」「ナイト・シグナル」、ラーションのサクソフォン協奏曲(須川展也)、ベルワルドの交響曲第4番「ナイーヴ」。このなかでもともとブロムシュテットのプログラムに入っていたのはラーションの協奏曲だけ。ここにニールセンとシベリウスが加わる北欧音楽プログラムだったのが、ラーションと同じくスウェーデンの作曲家であるベルワルドをメインプログラムにして、さらに武満を結びつけたプログラムに。こういうプログラムだとがぜん興味がわく。休憩なしで1時間強。
●最初の武満の3曲はいずれも金管楽器のみの曲。本来「デイ・シグナル」と「ナイト・シグナル」がセットで「シグナルズ・フロム・ヘヴン」となるところを、間に「ガーデン・レイン」が入って、昼、雨、夜という繋がりが生まれる。ぜんぜん違うけどハイドンの「朝」「昼」「晩」を思い出す。荘重な儀式のような趣も。続くラーションのサクソフォン協奏曲は逆に弦楽器のみの編成にソリストが加わる。須川展也のソロは圧巻。強烈なカッコよさ。1934年作曲としてはかなり穏健なのだが、これが実に魅力的。あるところは後期ロマン派風、あるところは古典派風味、あるところは同時代的といったような万華鏡的な作風が、かえって今風というか、時を超える射程の長さを持っていると思う。伝統的な3楽章構成の協奏曲で、陶然とした第2楽章アダージョが心に残る。ベルワルドの交響曲第4番「ナイーヴ」は1845年の曲ということで、連想するのはシューマン、シューベルトの世界。「ナイーヴ」(天真爛漫の意、なんだそう)と名付けられているだけあって、シューマンよりはずっと素朴で、ヘルシーか。ホントにナイーブ。少し素朴すぎるかなとも思うが、熱のある演奏で力強いフィナーレ。
●客席はかなり寂しかったが、本来の定期公演を休止したうえでの公演開催であり、さまざまな条件が重なってのことなんだと思う。客層もだいぶ違う印象。
October 23, 2020