●従来、演奏会では「スマホの電源を切る」のがマナーだった。実際には切らずに済ませていた人も少なくないかもしれないが(機器に関心がない人にとって、電源の切り方は決して明白ではない)、どこの会場でも電源を切るようにアナウンスされていたと思う。今後、このマナーは変わるかもしれない。
●というのも、先日、新国立劇場でもNHK交響楽団でも開演前に、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)をインストールしている方はサイレントモードにしてほしいといった趣旨のアナウンスが流れた。新国立劇場のサイト上でもCOCOAのインストールを呼び掛けた上で、「ご観劇中は、スマートフォンの電源は切らずに、音、振動が出ないように設定をお願いいたします」と明記されている。
●スマホの電源を切ってしまうと、COCOAは動作しない。COCOAはBluetooth(近接通信機能)を用いて、1メートル以内で15分以上接触した相手を検知して、後日だれか接触者が陽性になったときに通知が来るという仕組み。陽性者と接触した可能性を早期に知ることで、検査の受診などのサポートを受けることができ、感染拡大の防止につながるとされる。西浦博教授が「厚労省はCOCOAを死ぬ気で普及させるべき」とまで語ったアプリだが、期待されたほどは普及していないかも?
●ワタシはこれをすぐにインストールしたのだが、演奏会に行ってスマホの電源を切るたびに「これだと意味ないよなあ……」とモヤモヤした気分になっていた。しかし新国立劇場やNHK交響楽団はCOCOAの使用を明確に推奨してくれた。ここできちんとサイレントモードに設定すれば音は鳴らないはずだが、うっかりマナーモードで済ませようとしてアラームが鳴ってしまうみたいなアクシデントも今後起きるかもしれない。その場合、クラスター対策とどちらの優先度が高いのかという話になるのだろうか。
October 26, 2020