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December 17, 2020

ヴァイグレ指揮読響「第九」でベートーヴェン生誕250周年

beethoven_cut.gif●12月16日は、ベートーヴェンの推定誕生日(1770年12月17日受洗)。ウイルス禍のなかで迎えた生誕250周年となれば、「第九」以上にふさわしい曲はない。ということで、東京芸術劇場でセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のSHINRYO Presents「第九」特別演奏会。今年の初「第九」。合唱は新国立劇場合唱団。練習時等の感染対策の難しさから今年は多くのアマチュア合唱団が「第九」をあきらめており、「第九」はもっぱら少数精鋭のプロ合唱団が歌うものになっている。客席は見たところほぼ満席。ここ最近足を運んだ公演では一番の入り。GoToイベントキャンペーンの対象公演でもある。
●まずは三原麻里のオルガン独奏でベートーヴェンの「笛時計のための5つの小品」より「スケルツォ」「アレグロ」、バッハ「トッカータとフーガ」ニ短調。まったく聴く機会のない珍しいベートーヴェンと、超有名曲という組合せの妙。オルガン曲があったので、休憩後の「第九」も反響板を下ろさずにそのまま演奏。オーケストラは弦楽器10型というコンパクトな編成だったが、音量面で不足は感じない。ヴァイグレは棒を持たずに指揮。厳粛で格調高いベートーヴェン。ティンパニは第1楽章での嵐のような凶暴さと第2楽章での軽快で硬い響きのコントラストが効果的。第2楽章の後で独唱者と合唱が入場、拍手あり。森谷真理のソプラノ、ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナーのメゾ・ソプラノ、AJ・グルッカートのテノール、大沼徹のバリトン。合唱は40名規模で対人距離をとった配置。こちらも十分な力強さ。制約により編成の小さな「第九」になったが、小ささゆえの機動力を生かすというよりは、通常編成時と変わらない重厚なドラマを表現する「第九」。終楽章コーダはかなり煽って、本来ならブラボーの声がわきあがるところだが、もちろん拍手のみ。終演後は階ごとの分散退場。東京の新規感染者数は7日移動平均で534名、今がいちばん多く、下がる気配はなくじりじりと増え続けるまま年末に突入する。
●ヴァイグレも海外からの独唱陣も14日間の隔離期間を受け入れて来日してくれたわけで頭が下がる。ヴァイグレはすでに9日にブルックナーを指揮しており、また1月にも読響で4公演を指揮する。ということは11月下旬から約2か月間、日本に滞在することになるのか。