●12日は東京芸術劇場で熊倉優指揮NHK交響楽団。スメタナのオペラ「売られた花嫁」から3つの舞曲、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番(イザベル・ファウスト)、ドヴォルザークの交響曲第6番という渋めの曲が並ぶが、これはもともとパーヴォ・ヤルヴィ指揮の定期公演で予定されていたプログラム。この曲目で変更なしはすごい。しかも、当初予定のソリストがリサ・バティアシヴィリだったのが、なんと、代わってイザベル・ファウスト。1月のリサイタルから引き続いてずっと日本に滞在している模様。今、来日組の稀少感と来たらもう。
●シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番は、作曲者自身による2管編成版を使用。そんなのがあったとは。編成が大きすぎる協奏曲は客席側にとっても嬉しくないので、これは現実的。しかし、以前に聴いたときも感じたけど、まったく風変わりな曲。後期ロマン派の濃密さと透明感が同居。アンコールは知らない曲だったが、ニコラ・マタイス(マッテイス)作曲のヴァイオリンのためのエアー集から前奏曲/パッサージオ・ロット/アンダメント・ヴェローチェ。もっとたくさん聴きたくなる。
●後半のドヴォルザークの交響曲第6番は快演。1992年生まれの若い指揮者をオーケストラが全面的に盛り立てるかのような一丸となった演奏。エネルギッシュだが、音楽の流れが自然で伸びやか。前回の同コンビより格段に好印象。この第6番、自分は以前から好きな曲なんだけど、なにがいいのかといえばブラームスっぽいところ。特に第1楽章はブラームスの第2番にかなり似ている。土の香りが意外と上品だった、みたいな。もしジャネット・サーバーがドヴォルザークをアメリカに招こうと思いつかなかったら、交響曲第9番「新世界より」は誕生しなかっただろうし、ひょっとするとドヴォルザークの第6番、第7番、第8番が彼の「三大交響曲」になっていたかもしれないと、ふと思う。
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●13日の23時過ぎ、大きな地震があった。なかなか揺れが収まらず、建物が軋むようにグラグラする様子に一瞬にして10年前の記憶がよみがえる。震源は福島県沖で最大震度6強、東京は地域によって震度4から3。これも東日本大震災の余震とみなされるそう。10年前、専門家が余震は数十年続くと言っていた記憶があるが、その通りになっている。疫病と地震を退散させるにはどうしたらいいのやら。アマビエの強化版が必要。
February 15, 2021