●9日はサントリーホールで山田和樹指揮読響。リストの交響詩「前奏曲」、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「死と変容」、ニールセンの交響曲第4番「不滅」という、「生と死」をテーマにしたプログラム。生は死の前奏曲とするリスト、死を経て浄化へと至るシュトラウス、生命力を礼賛するニールセン。震災10年を目前とし、なおかつウイルス禍が続く現在にふさわしい。
●というテーマ性を備えつつも、純粋な音のスペクタクルとしても抜群に楽しいのが吉。3曲ともひたすらカッコいい。ひきしまった「前奏曲」、壮大なクライマックスが訪れる「死と変容」。爆走するロマン主義に心のなかの中二病がうずきだす(「シン・エヴァンゲリオン」どうしよう)。ニールセンの「不滅」は最高のごちそう。オーケストラの太くてキレのあるサウンドを満喫。終楽章の両翼ティンパニバトルが熱い。会心の一撃。客席は拍手喝采、カーテンコールで山田和樹がわざわざマスクをして一言。「わが読売日本交響楽団は永久に不滅です!」。ニールセン「不滅」を読響で指揮しない限り言えないという激レアなシチュエーションを狙った一言(元ネタは長嶋茂雄引退セレモニー、念のため)。
●ニールセンの「不滅」は作曲者の意図はともかくとして、第1楽章とか第4楽章を聴くとマシーンの音楽というか、工業的、内燃機関的なイメージがわく。ドヴォルザークの鉄道名曲「新世界より」に連なるエンジンの音楽、鋼鉄の音楽の系譜に分類したい。
March 10, 2021