●少し遡って3月3日はソニー音楽財団による第19回齋藤秀雄メモリアル基金賞のオンライン贈賞式。同賞は毎年、活躍が期待される若手チェリストと指揮者に与えられる。今年のチェロ部門は新倉瞳さんが受賞した(指揮部門は該当者なし)。選考委員は、永久選考委員に小澤征爾、堤剛、任期制選考委員に広上淳一、寺西基之、片桐卓也の各氏。
●贈賞式では、堤剛さんから贈賞の言葉が贈られた。「あなたのパイオニア・スピリッツは齋藤先生に共通するところがある。旺盛なチャレンジ精神は齋藤先生にも通じる」。続いて新倉さんが「身に余る光栄。夢にも思わなかった。15年前にCDデビューしてから、本当にたくさんの方に支えていただいてきた。最近強く思うのは、好きだなあと思う感情を大切にすると、多くの方と前向きの気持ちをシェアできるということ」「人間同士だけのことだけではなく、地球の偉大な美しさをわたしたちは音にしているのだと思う。日々の喜びや悲しみなどの感情を表現すること、そして虫の声や風の音なども表現できる音楽家でありたい」と感謝のメッセージを述べた。
●贈賞に続いて、新倉さんが一曲、演奏。クレズマー音楽で、祈りを意味する「ニグン」という曲。まず奏者の歌で始まって、チェロが続くという変化球に虚を突かれたが、この場にふさわしい選曲だったかも。
●なお、今回のオンライン贈賞式はYouTubeによる配信。約100人が視聴中と表示されていて盛況だった模様。一方通行の配信なので、こちらはずいぶん気楽。そして、感染対策もさることながら、オンラインだと前後の移動時間が不要になるのがありがたい。
March 18, 2021