●ここ最近、オンラインでの記者会見がいくつか続いている。16日はロームシアター京都の2021年度自主事業ラインアップ発表会。従来だったら京都の会見には参加しようがなかったが、オンラインなので可能に。プログラムディレクターの小倉由佳子さんを中心に、企画概要が発表された。非常に幅広い分野の舞台芸術が対象となっているので、以下、クラシック音楽ファン向けで、なおかつ自分の興味を引いたものをいくつかピックアップ。
●おもしろそうだなと思ったのは、京都市交響楽団×藤野可織のオーケストラストーリーコンサート「ねむらないひめたち」(6月20日)。芥川賞作家の藤野可織がこのコンサートのために新作小説を書き下ろしたという公演で、三ツ橋敬子指揮京響がラヴェルの「クープランの墓」より、「亡き王女のためのパヴァーヌ」他が演奏される。ストーリーテラー(朗読者ってこと?)は女性1名の予定で調整中。この小説は「新潮」7月号に掲載されるそうで、体が硬直して砂色の飴に覆われる謎の伝染病が蔓延する世界が舞台。大人不在でタワーマンションに住む幼い姉妹の暮らしが始まるのだが……というあらすじ。藤野可織さんはビデオメッセージで「新鮮で楽しかった」と語る。既存の名曲と新作小説という組合せを、どうステージに落とし込むのか。
●文学と音楽のコラボレーションという点で、古典中の古典がメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」(9月5日)。石丸幹二さんの語りで、広上淳一指揮京都市交響楽団が演奏する。全曲を聴く機会は貴重。「ホリデー・パフォーマンス」(6月27日)は無料公演で、松平敬さんと橋本晋哉さんの低音デュオが出演。その他、8月の広上淳一×京響コーラスのフォーレ「レクイエム」、10月の京響クロスオーバー オーケストラ・プレミアム 作曲家・編曲家プロジェクト「大島こうすけ×西川貴教×京都市交響楽団」、新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室「ドン・パスクワーレ」、来年3月の「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト XVIII」など、盛りだくさん。
●この発表会で使われたのは、ZOOMウェビナー。ZOOMミーティングは年中使っているが、ZOOMウェビナーを使用した会見は初めて。これだとホストと参加者の区切りがはっきりしていて、われわれの側はカメラもマイクもオフになっていて、挙手によって許可された場合だけ発言可能なスタイル。参加者の人数が多い場合にはこの方式がいいのかな。ほかにだれが参加しているかはわからず。レクチャーを聴いているみたいな感じで、良くも悪くもざっくばらんな雰囲気にはなりづらい。
March 19, 2021