●ニッポン代表の試合が日本国内で開催されるのはいつ以来なんだろう? 調べてみたら、2019年11月のベネズエラ戦以来なのだとか。依然、ウイルス禍は続いており、むしろ首都圏の感染者は増えているのだが、海外組の選手は2週間の自主隔離を免除されて入国した。その分、感染対策は厳格で、いわゆる「バブル方式」で決まったメンバーが決まった場所だけを移動できるスタイルで、国内移動もチャーター便、それどころか同じ日本代表の海外組と国内組ですら移動バスからホテルのフロアまで分け隔てられ、ピッチ上でやっと一緒になれるという厳しさ。昨年のウィーン・フィル来日を連想する。
●で、メンバーだが、やはりベストメンバーはそろわない。でも、海外組も思ったよりもいる。そこにJリーグのフレッシュなメンバーが加わって、普段ではなかなか見られない顔ぶれの代表になった。ニッポン代表の出場メンバーだけ書くと、GK:権田-DF:山根視来、冨安、吉田、佐々木翔(→小川諒也)-MF:守田英正(→川辺駿)、遠藤航-伊東(→古橋亨梧)、鎌田(→江坂任)、南野(→脇坂泰斗)-FW:大迫(→浅野)。Jリーグを見ていないと知らない名前も多いはず。山根視来は川崎、小川諒也はFC東京、守田英正は川崎→CDサンタクララ(ポルトガル)、川辺駿は広島、古橋亨梧は神戸、江坂任は柏、脇坂泰斗は川崎に所属。マリノス勢は残念ながら出番がなく、ベンチに松原健と畠中槙之輔。
●試合は予想もしなかったほどのニッポン・ペースで進み、特に前半は韓国に攻撃らしい攻撃がなかった。まさかのワンサイドゲーム。韓国も海外組を一部欠いた布陣だったと思うが、それ以前に
試合が淡白で、まるで紅白戦を見ているかのよう。おまけに両チームのジャージのデザインセンスがそっくりだし(あーあ……)。客席の歓声もないので、「日韓戦」ならではの熱さ、激しさは皆無。ガツガツとしたバトルがなければ、この急造代表チームでもニッポンはこれだけ快適にボールを前に運べるのか。ディフェンスラインからそのひとつ前にボールを運ぶのがとてもスムーズ。公式戦ではまず拝めないエレガンス。
●試合結果はニッポン3対0韓国という完勝だったが、もっとゴールを奪えたはず。終盤はお互いに雑になった感も。ゴールは代表デビューのサイドバック山根、フランクフルトで好調な鎌田、ブンデスリーガのデュエルキング遠藤航。山根の思い切りのよさに感嘆。最初の2点はいずれも大迫からチャンスが生まれていた。特殊な状況での試合だったので、結果は追風参考記録という気もするが、好材料はブレーメンで苦境に陥っている大迫が健在だとわかったこと。今のニッポンでハイレベルのポストプレイができるトップは大迫だけ。大迫は以前と同じく、独自のプレイスタイルを磨いている。
March 26, 2021