●最近なにかで elephant in the room っていう慣用句を目にして、なるほどなーと思ってしまった。つまり、だれもが重要だと認識しているのに口に出さない問題。サッカーファンとしては、ずばり、オリンピックがまさにそれ。とうにグループステージの組み分けも発表されているわけで、本来だったら開催国ニッポンは有利なくじを引いたのかとか、オーバーエイジ枠にだれを選ぶのかとか、どのポジションにだれが選出されるのかとか、大いに事前に盛り上がるところだが、緊急事態宣言中の現在にそういう気分にはなれない。一応、書いておくと、ニッポンはメキシコ、フランス、南アフリカというかなりきついグループに入った。そして本来ならU23の大会だが、一年遅れなので各国ともU24のチームが参加する。
●いつもオリンピックではそうだがサッカーは開会式より一足早く試合が始まる。7月21日が初戦で、おしまいは8月7日。これまで自分は、現実的にはどこかのタイミングで東京オリンピックの中止が発表されるのだろうと思っていたのだが、5月半ば現在、中止を検討している様子は見えない。最近の世論調査では開催派は3割弱、残りの7割強が中止派と延期派。
●男子サッカーに関して言えば、少なくとも再延期はないと思う。U23だったチームがU25になって、ほとんどの選手が所属クラブの主力に育ってしまう。いったんチームをばらして下の年代で再編成するか、あるいはB代表的なチームにするのか。でもそれだったら予選はなんだったのという話。ただでさえオリンピックの男子サッカーにはU23+オーバーエイジ枠という不思議な規定があって、著名選手が参加しない伝統国と最強メンバーをそろえる新興国がメダルを争う図式になっているのが落ち着かない。なんかフェアじゃない。そして主力選手を送り出すクラブのファンは選手の消耗を心配している。いっそのこと、オリンピックはU23ではなくO35マスターズにして、エキシビション的な気持ちで眺められる大会にしてくれたら、もっと素直に楽しめるのに……。
May 13, 2021