May 24, 2021

原田慶太楼指揮NHK交響楽団、三浦一馬のラテン・アメリカ・プログラム

●21日は東京芸術劇場で原田慶太楼指揮NHK交響楽団のラテン・アメリカ・プログラム。ゲスト・コンサートマスターに白井圭。カマルゴ・グアルニエーリ(ブラジル)の「弦楽器と打楽器のための協奏曲」日本初演、ピアソラ(アルゼンチン)のバンドネオン協奏曲「アコンカグア」(三浦一馬)、休憩をはさんでヒナステラ(アルゼンチン)の協奏的変奏曲、ファリャ(スペイン→アルゼンチン)のバレエ組曲「三角帽子」第1番という意欲的なプログラム。ファリャ以外は珍しい曲ばかりだが、むしろファリャが霞むほどどれもエキサイティングな曲ばかり。
●グアルニエーリ作品は1972年作曲だがスタイルとしては20世紀前半風で、編成から「ジャングルのバルトーク」的な曲を勝手に予想するも、むしろ洗練されたカッコよさ。オーケストラのソロの見せ場が多く、コンチェルト・グロッソ的。というか、この日は各曲ソロ満載で、あたかもプログラム全体がオーケストラのための協奏曲のよう。ピアソラのバンドネオン協奏曲「アコンカグア」は作曲者生誕100年にふさわしい堂々たる協奏曲。こちらは1979年作品。曲の立派さからいえば長くレパートリーに残ってもおかしくない傑作だと思うが、将来的にはバンドネオンという楽器の盛衰と運命共同体か。久々に見た三浦一馬がすっかり大人の男性になっていて驚く。アンコールに、なんと、大河ドラマ「青天を衝け」(実は毎週見てる)。ヒナステラの協奏的変奏曲はソロ無双で、まさしく管弦楽のための協奏曲。エンディングが華麗なのもバルトークを連想させる。華やかさではこの日のクライマックス。これで十分なくらいのボリューム感だと思ったが、ファリャ「三角帽子」組曲第1番を聴いてしまうと、第2番も聴きたくなる(欲張りすぎ)。原田指揮N響は切れ味鋭く、くっきりした明快なサウンド。ダイナミックでエネルギッシュだが精緻さも失わない。この鮮やかさ、雄弁さは稀有。

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