●古いSFミステリー小説だが、アイザック・アシモフの「はだかの太陽」(早川書房)を読んでみたら、舞台となる惑星が人間同士の直接的な接触を禁忌としており、人と人の面会は常に立体映像を通してリモートで行うという設定になっていた。ウイルス禍以来、ZOOMを常用するようになった身としては、妙になじみのある光景で、1956年に書かれた小説に今になってはじめてその先見性を実感できる。もっとも、その一点以外は相応に古びた小説ではあるのだが。
●今、早川書房の夏のKindle本セールで、電子書籍約1500点が50%OFFになっている(6/22まで)。これに思いっきりつられて、ことあるごとにポロポロと翻訳小説や翻訳ノンフィクションを買ってしまう。すでに紙で持っている本も多いのだが、半額だったら電子書籍で買い直しておくのもありかな、とか。あと、比較的新しいところでは、話題作「ザリガニの鳴くところ」(ディーリア・オーエンズ)とか、一作目までしか読んでいない「三体Ⅱ」(劉慈欣)などにも惹かれつつ、まずは「レス」(アンドリュー・ショーン・グリア)を読み始めた。
●藤倉大がオペラ化した(そしてタルコフスキーとソダーバーグが映画化した)スタニスワフ・レム「ソラリス」もある。これは20世紀の古典。古びていない(と思う)。
June 10, 2021