June 17, 2021

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のペルト、シベリウス、ニールセン

●16日は前夜に続いてサントリーホールへ。本当に久しぶりのパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団。このコンビの共演はヨーロッパ・ツアー以来、1年3か月ぶりなのだそう。こんなに長くシェフ不在の時期が続いていたのかと改めて知る。自分が聴いたのはツアー出発前の2020年2月以来。すごく昔の出来事のような気がする。14日間の隔離期間を乗り越えてようやく来日が実現。パーヴォが袖から一歩踏み出した瞬間に熱烈な拍手がわいた。
●プログラムはペルトの「スンマ」(弦楽合奏版)、シベリウスのヴァイオリン協奏曲(青木尚佳)、ニールセン(ニルセン)の交響曲第4番「不滅」の北欧プロ。客席の興奮を鎮めるように静謐な「スンマ」ではじまったのが印象的。シベリウスで独奏を務めた青木尚佳は今年1月よりミュンヘン・フィルのコンサートマスターに就任。管弦楽の分厚い響きに埋もれることなく輝かしい美音を客席まで届ける。オーケストラと一体となった端整なシベリウス。アンコールにイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番より第3楽章。後半の「不滅」はパーヴォの本領発揮。久々の共演であっても、切り込み鋭く鮮やかなパーヴォ・サウンドは健在だった。推進力あふれる演奏から、作品の崇高さが浮き上がってくる。聴くたびに感じることだけど、この曲のもたらす高揚感は尋常ではない。左右のティンパニバトルは大きな見せ場。ゲストティンパニ奏者に元読響の菅原淳さん。ティンパニの一撃ごとに空気が一段と引きしまるかのよう。エネルギッシュなフィナーレの後、一瞬の余韻を待って客席から盛大な拍手。パーヴォのソロ・カーテンコールあり。N響は2022年9月よりファビオ・ルイージを首席指揮者に迎えるので、パーヴォはすでに去ることが決まっている人でもあるわけだけど、やはり客席の反応は熱かった。
●今シーズンは定期演奏会が休止扱いだったので、N響の客層は相当変わったと感じる(目に見えて若くなった)。9月からの来シーズンはどうなるのだろう。

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