June 18, 2021

わきあがるヨーロッパ選手権、ボスに逃げられたマリノス

●ところで、すでに開幕しているんである、4年に1度のEURO2020(ヨーロッパ選手権)が。一年遅れの開催。いつもだったらテレビの前に釘付けになるところだが、今大会はまだ一試合も観戦していない。なにしろしばらくヨーロッパのサッカーから心が離れている。いくら競技水準が高くても、無観客の静かなスタジアムでは練習試合を見ているようで味気ない……と思っていたのだが! なんと、観客が入っている! しかも大騒ぎしている! 一瞬、わが目を疑うが、上記の映像のように、ウイルス禍の鬱憤を晴らすようにスタジアムは盛り上がっている。もちろん、客席数の制限はあるのだが、みんなマスクもディスタンスも気にせずに、叫んだり飛び上がったりしている。マジっすか。早くWOWOWを契約したほうがいいのか?
●これまでの方式とは違って、今回のEURO2020からは11都市で分散開催されている。唯一ダブリンだけが開催を断念したが、ロンドン、セビージャ、ミュンヘン、ローマ、アムステルダム、グラスゴー、コペンハーゲン、ブタペスト、ブカレスト、バクー(アゼルバイジャン)、サンクトペテルブルクで開催中。いずれオリンピックもこういう方式になるのではないかと思っているのだが、それはともかく、観客収容率や感染対策などは都市ごとにまちまちなのだとか。まあ、ずいぶんと開放的な雰囲気になっている。ワクチン接種率がある程度高まってくると、こうなるのは必然か。遠からず、日本もそうなる?
●一方、足元に目を向けると、マリノスはポステコグルー監督に逃げられるわ、天皇杯で実業団チームのHonda FCにPK戦で敗れるわ、ルヴァンカップで敗退するわと、踏んだり蹴ったりのように見える、かもしれない。だが、ここは負け惜しみではなく、はっきり断言したいのだが、ポステコグルー監督が正しい選択をしたことを祝したい。マリノスで思いのほか早く優勝を果たした後、次のステップに進むというよりはひとつのサイクルが終わるような予感があったので、これからのことを考えると別々の道を歩んだほうがお互いのためだと思っていた(なんだ、その別れ話みたいな言い方は)。
●そして、なによりポステコグルー監督はスコットランドのセルティックから監督のオファーを受けた。これはアジアの名将が欧州に進出するためのほとんど唯一の正解ルートだと思う。こんな千載一遇のチャンスを逃せるわけがない。なんどか書いているが、ポステコグルー監督の超攻撃的サッカーは個の力が相手と同等かそれ以上であって初めて機能する戦術。足りないポジションには新たにタレントを買う「お金を溶かす戦術」でもある。欧州のビッグクラブではポステコグルー戦術は機能するかもしれないけど、いきなりそんなオファーが来るわけない。でも中位や下位のチームであの戦術はカウンターの餌食になるだけ。その点、セルティックのような「ローカルなビッグクラブ」という立ち位置は理想的だ。リーグ内ではほぼすべての相手にポゼッションで上回れるはず。しかもよく知っているJリーグやオーストラリアの選手を連れてきて、活躍させることもできる、スコットランドなら。実際、セルチックにはかつて中村俊輔というレジェンドがいたわけで。ポステコグルーはここで旋風を巻き起こした後、5大リーグの上位クラブに移るのが理想的なシナリオだと思う。

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