June 22, 2021

羨望と困惑 EURO2020 グループA 第3戦 イタリアvsウェールズ

●いったいヨーロッパの熱狂するスタジアムに対して、ワタシらはどんな態度をとればよいのだろうか。絶対的な真実がひとつある。サッカーは(そしてコンサートやオペラも)、お客がいるから成立する。たとえ客席数を制限していても、ゼロとは本質的になにかが違う。今回のEURO2020、妙に羨望と困惑を感じてしまい、ここまで無視していたが、グループリーグ第3戦を迎えたところでたまらず試合を観てしまった。イタリアvsウェールズ。WOWOWオンラインで配信中。
●会場はローマ。今大会から各国分散開催なので、ホームの優位を多くの国で分け合うことになる。気温は29℃、暑い。客席は疎らのはずだが、歓声が盛んに飛び、祝祭的な雰囲気に満たされている。グループリーグ3戦目でイタリアは勝点6ですでに決勝トーナメント進出を決めている。ウェールズは勝点4。同時開催のスイスvsトルコ戦にもよるが、3位でも勝ち抜ける可能性があるため、ウェールズは大差で負けなければ大丈夫なんじゃないかな、という状況。なんなら0対0の談合試合で終わらせても両者ハッピーだ。イタリアは主力を休ませて控え組中心の布陣。ウェールズは4バックから3バックに変更し、基本的にはブロックを敷いて守る姿勢。ほとんどの時間帯でイタリアが主導権を握る。
●39分、イタリアはフリーキックからペッシーナがうまくボールをすらして先制ゴール。55分、ウェールズのアンパドゥが危険なタックルで一発退場。こうなるとウェールズはこれ以上失点したくない(勝点より得失点差が問題になる)。あとはイタリアは快適なクルージングを続けるのみ。一度、ウェールズはベイルにビッグチャンスが訪れたが、決められず。終盤にスイスvsトルコ戦の経過が選手にも伝わったようで、ボールを回すだけの展開になって、イタリア 1対0 ウェールズで試合終了。イタリアが1位、ウェールズが2位で両者めでたくグループリーグを通過した。
●今のイタリアには時代を代表するようなスーパースターは見当たらないが、代表チームはめっぽう強くて、なんとこれで30試合負けなし。すごすぎる。監督はマンチーニ。控え選手中心でも、モチベーションが高く、3戦全勝で勝ち抜こうという強い意志が感じられた。まさにチーム一丸。フォワードにキエーザという選手がいるのだが、彼はかつての名プレイヤー、エンリコ・キエーザの息子なのだとか。最初、お父さんのほうを思い出して「?」となってしまったが、息子だったとは。やれやれ。

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