●20日は東京オペラシティでオーケストラ・キャラバンTOKYOで、坂入健司郎指揮名古屋フィル公演。東京で名フィルを聴ける貴重な機会。そして指揮の坂入はかねてより注目される若手。会社員との二足の草鞋を履いての指揮活動だったが、この夏より指揮活動に専念するという。今回、プロ・オーケストラでの指揮を初めて聴いたが、上々の船出となったのでは。
●オール・ロシア・プロでボロディンの交響詩「中央アジアの草原にて」、グラズノフのサクソフォン協奏曲(堀江裕介)、チャイコフスキーの交響曲第4番。前半はサクソフォン協奏曲の先駆的作品であるグラズノフを聴けたのがうれしい。ソロはつややかで濃密。後半のチャイコフスキーは若さと勢いで押すかと思いきや、むしろ着実。名フィルは厚みのある弦の響きで新鋭を盛り立てた。終楽章は推進力を高めて、力強いフィナーレに。大喝采にこたえて、アンコールに快速テンポの「白鳥の湖」より「スペインの踊り」。一気にリラックスして弾けた雰囲気になったのが吉。その後、オーケストラが退場しても拍手が鳴りやまず、なんと、指揮者のソロ・カーテンコールに。客席が祝祭的なムードを作り出した稀有な公演。
August 23, 2021