September 13, 2021

山田和樹指揮日本フィルのショーソン&水野修孝

●10日はサントリーホールで山田和樹指揮日本フィル。プログラムはショーソンの交響曲変ロ長調と水野修孝の交響曲第4番という2曲。どちらも生で聴けるのは貴重な機会。あえてくくれば越境的横断的な交響曲2曲の組合せとでも。ショーソンはフランクそっくりに始まって、ワーグナーで終わる。もしも「トリスタン」以降のワーグナーが交響曲を書いたら?みたいなうねるロマンと官能性。終盤は「ジークフリート」や「神々の黄昏」を連想させずにはいられない。その一方でショーソンの確固たるオリジナリティも共存していて、フランクの交響曲に負けず劣らず傑作だと思う。めったに演奏されないのが不思議だ……と言いたいところだが、7月に川瀬賢太郎指揮神奈川フィルが演奏したばかりという奇遇。
●後半、水野修孝の交響曲第4番はぶっ飛んでいた。こちらはマーラーの延長にあるような後期ロマン派的スタイルから、思い切りベタな昭和ポップス(?)を経て、パロディ化されたディスコ・ミュージック調に至るという異色作で、もう痛快というほかない。最高にシャレているし、今日的だなと感じる。本当はなにも知らずに聴いていればもっと驚いたと思うのだが、つい事前に録音を聴いてしまいセルフネタバレしていたのであった……。作曲は2003年。なんと21世紀の交響曲だ。87歳の作曲者が臨席しているのがスゴい。もちろん、終演後は大喝采。拍手が鳴りやまず、山田和樹のソロ・カーテンコールへ(最近、自分が足を運ぶ公演はそういう公演ばかりなのだが)。これは作曲者への称賛も込めた拍手だろう。近年の山田和樹&日フィルのコンビではもっとも感銘を受けた公演。
●両曲ともすごく盛り上がるのだが、最後は静かに終わる。

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